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Channel: IT起業研究所 ITInvC 代表小松仁
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未来の産業を引っ張るべき人材が、時間労働者の考え方に染まってしまうのはもったいない

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米ベンチャー企業への投資と日本企業へのコンサルティングをしている校條(めんじょう)浩さんが、「成功するベンチャー企業の創業者には、大学を出てすぐの若者よりも30~40歳代が多い」という話を引用しながら、米国では、資産があるので収入が途絶えることを恐れずじっくり考える時間を持て、持ち家があり、ある程度の貯金と株などの金融資産を持っているから、次のチャンスを狙う気持ちの余裕がある、このような「経済的な自立」が可能な理由は、若い頃から大金を稼ぐ道があるからとしているのは、面白い指摘と思う。

日本では、終身雇用と年功序列がまだ根強く、生涯の雇用を保証する代わり、キャリアの後半から定年にかけて処遇に厚みを持たせ、キャリア前半では仕事の貢献に比べ報酬を著しく押さえているため、高度成長時代には昇進が働く原動力となってきたが、低成長時代に入ってからは残業代のために働く習慣だけが残ってしまっており、未来の産業を引っ張るべき人材が、時間労働者の考え方に染まってしまうのはもったいないというのは、尤もだと思う。

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82991490Z00C15A2X12000/

「運転行動連動型」(PHYD:Pay How You Drive)テレマティクス保険

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IoTを活用して運転情報を取得、これを基に保険料を決定する「運転行動連動型」(PHYD:Pay How You Drive)テレマティクス保険が海外では普及しつつあり、米国では2020年には半数が運転行動連動型になるとの見方もあるという。

国内では、損保ジャパン日本興亜が、IoTを活用した企業向け安全運転支援サービス「スマイリングロード」の提供を予定し、車両に設置した通信機能付きドライブレコーダーで走行データを収集、集めたビッグデータをクラウド上で解析し、ドライバーや企業の管理者に安全運転診断や危険運転などの情報をフィードバックするサービスとするようだ。

http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/3816/Default.aspx

なぜ多くの新しいアイデアが破壊的なイノベーションとならずに消えて行くのか

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「イノベーションのジレンマ」や「イノベーションのDNA」等の続編として2014年9月に発刊された「Innovator's Method」(Harvard Business Review Press)の共著者で、Brigham Young大学Marriot School of Management助教授Nathan Furr博士のインタビュー内容が興味深い。

なぜ多くの新しいアイデアが破壊的なイノベーションとならずに消えて行くのか。

1つは、企業や起業家が既存の技術に捕われ、その延長線上でしかイノベーションを考えることができない点、2つ目の理由は、イノベーションを通じて実現したいのは、顧客が不便を感じている問題を解決することであるにもかかわらず、イノベーターはこれを理解する前に、商品やサービスなどソリューション作りを始めてしまい、顧客の心をつかみ損ねたソリューションに注力した結果、将来価値を生む貴重な機会を発見する前に、資金や時間、忍耐力の限界が来るというのは、面白い。

イノベーションに成功した企業に共通する点として、第1のステップは洞察し驚きみつけること、第2はイノベーションで解決する価値のある問題を見つけるため、機能的、社会的、そして感情的な観点から顧客のニーズを探ること、第3のステップで具体的なソリューションに着手するが、多様なソリューションを広く想定し、必要最低限の機能を備えたプロトタイプを迅速に作って繰り返し実験し、顧客のニーズに応えられているかを確認すること、最終ステップは価格設定や顧客の取り込み戦略、コスト体系等を含め、ビジネスモデルを策定することとしているのは、参考になりそうだ。

イノベーションは一朝一夕には完成しないと同時に、地道な実験作業の繰り返しが必要であるというのは尤もだともう。

http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/opinions/2015021301.html

2015年の日本の産業を読み解く上で重要と思われる10個のキーワード

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東レ経営研究所が、2015年の日本の産業を読み解く上で重要と思われるキーワードを紹介している内容が興味深い。

個別セクターの動向よりも、幅広い業種の企業経営や産業全般にかかわるテーマを中心に選んだとし、巷でよくある「今年のトレンド予測」や株式市場で材料となる一過性のテーマ探しとは一線を画し、現在日本の産業の底流で起こっていて、企業の経営に影響を与えそうな構造変化や質的変化をとらえることを重視したようだ。

以下の10個だが、如何だろうか。

1. IoT
2.自動車の情報端末化
3.「地産地消」のサプライチェーン
4. サービスロボット市場
5. 電力システム改革
6. 蓄電池
7. コーポレートベンチャリング
8. インバウンド消費
9. 地方創生
10. ユーザー体験

http://www.tbr.co.jp/pdf/report/eco_g036.pdf

日本のサービス業全体の生産性アップ

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ボストン コンサルティング グループ日本代表の御立 尚資さんが、香港の例を挙げて、サービス業の生産性を論じている内容が興味深い。

香港のサービス産業の中で、最大の経済規模を持つのは、GDPの24.6%を占める「トレーディングおよびロジスティクス」の貿易サービス、卸売業、物流サービス全般で、大部分はBtoBになり、次いで、「ファイナンシャル・サービス(金融業)」が15.9%、これもBtoB比率は相当高く、3番目が、「プロフェッショナル・サービスおよびその他のプロデューサー・サービス」で12.8%を占めるといい、これらは、意図的にBtoBサービス業へのシフトを図った結果のようだ。

日本でBtoCサービス業が自らの生産性を高めるイノベーションに取り組むことに加えて、
(1)BtoBサービス業の比率を高めることによる日本のサービス業全体の生産性向上、
(2)BtoBサービス業がBtoCサービス業を顧客とすることによる当該分野の生産性向上、
といった手段が組み合わされば、日本のサービス業全体の生産性アップにつながるというのはよく理解できる。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20150209/277298/?P=1

ロボット新戦略

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国際大学GLOCOM客員研究員の林 雅之さんが、内閣官房の「第6回ロボット革命実現会議」、『ロボット新戦略』などについてまとめて報告している内容が参考になる。

欧米の先進国や中国などで政府主導のロボット関連のプロジェクトが相次いで立ち上がるなど、政府も巻き込んだロボットを巡る新たな国際競争が始まっているようで、例えば、米国が2011年に公表した「National Robotics Initiative(国家ロボットイニシアティブ)」では、国立科学財団(NSF)、国立衛生研究所(NIH)、航空宇宙局(NASA)、農務省(USDA)の4団体が、人工知能分野や音声や画像認識などの分野を中心とした次世代ロボットの基礎研究に対して毎年数千万ドル規模の支援を実施しているという。

国内では、「日本再興戦略」改訂2014の中で、「ロボットによる新たな産業革命」として、ロボット技術の活用により生産性の向上を実現し、世界に先駆けての課題解決、企業の収益力向上、生産性向上による賃金の上昇を図るといったテーマを掲げている。

政府の新戦略で示すロボット革命で目指す社会としては、以下の3つをあげている。

(1)ロボットが劇的に変化(「自律化」「情報端末化」「ネットワーク化」) 自動車、家電、携帯電話や住居までもがロボット化
(2)製造現場から日常生活まで、さまざまな場面でロボットを活用
(3)社会課題の解決や国際競争力の強化を通じて、ロボットが新たな付加価値を生み出す社会を実現

さらに、ロボット革命を実現するために、以下の3つを柱としている。

(1)日本を世界のロボットイノベーション拠点とする「ロボット創出力の抜本強化」
(2)世界一のロボット利活用社会を目指し、日本の津々浦々においてロボットがある日常を実現する「ロボットの活用や普及(ロボットショーケース化)」
(3)ロボットが相互に接続しデータを自律的に蓄積、活用することを前提としたビジネスを推進するためのルールや国際標準の獲得などに加え、さらに広範な分野への発展を目指す「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」

ロボットイノベーションの拠点として、現場における革命実現のための産学官を分厚く巻き込んだ推進母体となる「ロボット革命イニシアティブ協議会」を設置するとしている。

ロボットの利用や活用では、「ものづくり」「サービス」「介護・医療」「インフラ・災害対応・建設」「農林水産業・食品産業 」の5分野を重点分野として設定し、2020年に向けた戦略目標とアクションプランを策定する。

研究開発の分野では、ロボットのためのコアテクノロジである人工知能やセンシング・認識、駆動(アクチュエータ)・制御についての次世代の研究開発を強化するとともに、ロボットOSなどのミドルウェアにおけるソフトウェアや、通信などの機器間連携に関する規格化や標準化に取り組むとしている。

人工知能(AI)では、大量のデータから学習する「データ駆動型」と既存の知識から推測する「知識推論型」、そして、脳の部位を模したAIをモジュール化して、脳の情報処理を模倣した「脳型」などの研究開発の必要性をあげている。

ロボットOSでは、米国のシリコンバレーで、米Willow Garageが開発し、「Open Source Robotics Foundationが」が維持管理し、オープンソースの「ROS(Robot Operating System)」が提供されており、多くの開発者が参加し、ROS対応のソフトウェアを開発している。また、Googleもロボットベンチャーを相次いで買収し、ロボットOS“Android-R”を開発していると噂されている。

日本においてもさまざまなOSが開発されているが、ロボットの普及が進むにつれて、ロボットOSの役割は大きくなるだろうとしている。

ロボットと共存する社会の実現には、人(人間の意識改革)×プロセス(制度・規制改革)×テクノロジ(ロボット技術)の三位一体となった取り組みを、中長期的な視野に立ち行動していくことが大切になっていくだろうというのは尤もだと思う。



http://japan.zdnet.com/article/35059862/?tag=zdnw&utm_source=zdnet&utm_medium=newsletter&utm_campaign=newsletter

「公益資本主義」という考え方

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米シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト原丈人さんが、欧米諸国の「会社は株主のもの」と考える株主資本主義では不十分とし、株主だけではなく株主に加えて従業員、顧客、取引先、地域社会、さらには地球全体を指す社会全体に広く利益を還元する会社を高く評価し、むしろ高度成長期の日本企業のような会社を「善い会社」と考え、この善さを定義する考え方として、「公益資本主義」を提唱しているのは、実に興味深い。

社会の構成要素を「ステークホルダー(利害関係者)」と位置付けてしまわず、「社中」、共通の目的を持つ仲間と捉えているのも面白い。

株主資本主義で重視されているのはROEだが、株主の視点だけでは不十分であり、従業員への貢献度を見るなら給料や福利厚生、教育なども考慮すべきだろうし、顧客なら製品やサービスの安全性、取引先なら取引価格といった具合に、すべての社中に対して貢献できているかどうかを表せる指標、ROC(return on company)ともいうべきものが要るとしているようだ。

名古屋大学大学院多元数理科学研究科の宇澤達(うざわ・とおる)教授と共に、数式を組み立ててROCを作れないかを検討しているらしく、早期の完成を期待したい。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150218/277694/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt

日本の財政悪化と「救命ボートのジレンマ」

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REI小林 慶一郎ファカルティフェローが、「市場経済の論理と政治の論理」の中で論じている内容が興味深い。

日本の財政悪化がもたらす問題は、国家の徴税権力の衰退によって貨幣価値が保てなくなり、日本経済が混乱する、というリスクであり、貨幣価値が保てなくなる状態とは、年間数十%以上に達する高率のインフレが発生し、しかも、インフレ率が非常に激しく変動するような事態で、これは日本が直面する「救命ボートのジレンマ」型危機といえるとしている。

マイケル・サンデルが『これから正義の話をしよう』の中で論じた「救命ボートのジレンマ」は、何人かの集団が救命ボートに乗って漂流しているが、ボートは沈み始めており、乗船者のうちの1人が退船すれば(すなわち1人が命を失えば)ボートの沈没は免れることができて残りの乗船者は全員が助かる、しかし、もしだれも退船しなければ、沈没して全員が死ぬという状況で、一般化すると、ある集団(ある町、ある企業、ある国など)が危機に瀕していて、その中の少数の者が不利益を自発的に甘受する自己犠牲的な行動をとれば、残りの全員が利益を受ける、という状況を指している。

「救命ボートのジレンマ」を解決するのは、経済学ではなく、政治思想であるとし、現在世代が財政再建という自己犠牲を払えば、将来世代が安定した経済環境を享受できる、という構造なので、日本の財政再建(=貨幣価値の安定)という課題は、現在世代が国家の持続のために自己犠牲的な意思決定をできるか、という政治思想上の問題と捉えることができるとしている。

「『市場=国家』の存続のための自己犠牲的行動が個人にとって価値ある行為となるような倫理体系」を作ることが、21世紀の政治思想の課題なのかもしれないというのは、尤もだと思うが、実際問題としてはどのような道筋を辿れば到達できるのだろうか。

http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0416.html?id=nl

ディープラーニングの延長線上のコモディティー化だけでも世の中がかなり変わる

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ドワンゴ 代表取締役会長 CTOの川上量生さんが、人工知能の研究や独自ハードウエアの開発に乗り出した背景、遠からず人は機械に負けてしまうという諦観や、他社に真似できないサービスの実現には独自のハードウエアが不可欠という発想などについてインタビューで話している内容が興味深い。

ディープラーニングやオートエンコーダーといった技術が既に「将棋電王戦」に使われているようだ。

一番難しいのは0歳から2歳までの、赤ちゃんの汎用的な学習能力の高さで、それは再現できない、単純に人間みたいな人工知能をやったとしても、赤ちゃんを育てるようなものなので、実現は結構遠いとし、それまでに、今のディープラーニングの延長線上のコモディティー化だけでも世の中がかなり変わるとし、そこでビジネスチャンスを見つけていけばよいというのは、ビジネス感覚の点で優れていると思う。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150217/277612/?n_cid=nbpnbo_nb_fb&rt=nocnt

音声認識システムとIoT

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ジャーナリスト瀧口範子さんが伝えるように、スマートテレビに搭載した音声認識システムのため、サムスンがプライバシー問題でひどく叩かれた話は、スマートフォンではすでにアップルのSiriやアンドロイドの「OK、グーグル」、マイクロソフトのコルタナなどのバーチャル・パーソナル・エージェントが、音声認識技術を用いてまるで人間とやりとりするような自然なインタラクションを可能にしている技術レベルから、近い将来のIoTやスマートホームの闇を伺わせてしまったというのは、尤もだと思う。

http://diamond.jp/articles/-/67036

CMOSチップベースの量子コンピュータ

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複数の都市を全て回る最短経路を求める「巡回セールスマン問題」など、膨大な数の組み合わせの中から、与えられた条件を満たす最適な解を見つける最適化問題に有効とする、室温で動作するCMOSチップベースの技術を日立製作所が発表したのは、興味深い。

D-Wave量子コンピュータが採用した量子アニーリングの手法では、超伝導回路のスピン(回路を流れる電流が作り出す極小の磁石)同士が互いに力を及ぼす「イジングモデル」と呼ばれる物理状態へと写像(マッピング)し、問題の条件に合わせて、近接する超伝導回路のスピン間相互作用(Jij)の強さを設定、この状態で、回路に強い横地場をかけてスピン(σi)の向きを一方向にそろえた上で、徐々に磁場を緩めていき、磁場ゼロの環境で、もっとエネルギーが低い安定状態になったスピンの向きを読み取ることで、組み合わせ最適化問題の解を知ることができるらしい。

日立製作所が超伝導回路の代わりに使うのが、1ビットのメモリー(SRAM)で、このメモリーの0、1の値をスピンの向き(例えば上向き、下向き)に見立て、隣接するスピンの値と、スピン間相互作用の値をアナログ演算回路で掛けあわせ、その相互作用に応じてスピンの向きを変え、この演算を繰り返すことで、全体のスピン状態が安定状態に近づくとしている。

室温で動作するCMOSチップを使えるため、チップを極低温に冷やす必要がある量子コンピュータと比べ、コンピュータを大幅に小型化・省電力化できるという。

D-Wave量子コンピュータに対して、「本当に従来型コンピュータより高速なのか」「本当に量子効果が現れているのか」といった点で、現段階で専門家の評価が定まったとはいえないらしく、今回の日立製作所が開発したシステムが将来実用化できるものか、やはり検証するのは難しいようだが、今後に期待していきたい。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/022000173/?mln

ベンチャー企業が人工知能の技法をアプリに取り入れている

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Ventureclef宮本和明さんが、ベンチャー企業が人工知能の技法をアプリに取り入れている例として、AppZenの経費精算システム「Expense Reports from AppZen」を取り上げている。
例えば、出張や業務で立て替え払いした際の精算手続きとして、領収書をカメラで撮影するとアプリは印刷されている文字や日付を読み取り、更に、内容を理解し、費目を「クライアントとの食事」などと区分し、会食日を認識するようなことができるようだ。
アプリは人工知能のなかの自然言語処理機能を持ち、入力された言葉を理解でき、領収書の写真からテキストを読み込み、その意味を理解し、費目を区分けし、必要に応じて追加情報の入力を求め、アプリがインテリジェントに経費精算レポートを作成するわけである。
また、人工知能のMachine Learning (機械学習)を使い、社員から入力された経費精算レポートをチェックし、会社やIRS (米国内国歳入庁) の規定に則しているかを解析、レポートを統計処理し、不正処理のリスクの度合いを数値化、間違いや不正の疑いのあるレポートについては、警告メッセージを示し、人がマニュアルで監査するプロセスとなるようだ。
事前に、AppZenに大量のレポートを読み込ませ、解析結果を人間が監査した結果と比較し、システムを教育しておくらしい。
また、別の例として、昨年8月にGoogleに買収されたJetpacの観光案内アプリ「Jetpac City Guide」は、観光ガイド作成に人工知能を使っていて、写真に写っている特徴を解析し、その場所を特定し、評価する点に特徴があるようだ。
写真共有サイト「Instagram」に公開されている大量の写真を解析し、観光ガイドを制作するが、写真に写っているオブジェクトから場所の特徴を把握し、写真の人気度からその場所のランク付けを行うらしく、写真に写っている人物の笑い顔の度合いを幸福の指標としているようだ。
いずれも興味深いが、このようなアプリは、国内でも開発、提供され始めているのだろうか。

http://ventureclef.com/blog2/

ディープラーニングと脳の間

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現在、人工知能の研究進展と共に、その成果のビジネスへのフィードバックが部分的かもしれないが始まっているようだ。

産総研主任研究員 の一杉裕志さん、ドワンゴ 人工知能研究所所長の 山川宏さん、東京大学 准教授の 松尾豊さんがオーガナイザーになっている「全脳アーキテクチャ勉強会」というインフォーマルな勉強会の活動が実に興味深い。

人工知能の分野で今最も期待を集める技術は、いわゆる「ディープラーニング」で、多数のノードを何層も重ねた大規模なニューラルネットで教師なし学習を実現できる技術で、画像や音声の認識などで目覚ましい成果を上げているが、その延長線上で人間と同様な知性を実現できるかといえば疑問符がつくと、一杉裕志さんが指摘しているのは面白い。

ディープラーニングと脳の間には、数々の相違点があり、脳は異なる機能を備える複数の器官で構成されているが、脳の主要部分である大脳皮質も、構成要素の領野ごとに機能が違い、それぞれが異なる事前知識や学習則を備える可能性が高いらしい。

こうした事実を無視したままでは、脳の動作の再現は難しいようで、米IBM社の脳型チップ「TrueNorth」など、ニューラルネットの動作を模倣するLSIでも事情は変わらないとしている。

大脳皮質の動作を再現可能な神経回路モデルBESOMは、認識や学習といった動作を実現するために、4つの機械学習技術を組み合わせており、外界の認識はベイジアンネット、ベイジアンネットの構成要素の学習に自己組織化マップ(SOM)と独立成分分析(ICA)、行動に関わる人間の意思決定機構をモデル化するために強化学習を利用しているらしい。

脳の中でも人間の知能に最も深く関係する器官といえる大脳皮質の動作の再現だけなら、恐らく1PFLOPS程度の処理性能(10PFLOPSの理化学研究所のスパコン京の1/10の水準)があれば足りるとし、人の大脳皮質のニューロンをおよそ100億個、1個のニューロンあたりのシナプスを1000個とすると、記憶量はシナプス1つを1バイトとすれば10Tバイト相当で、脳全体の機能の再現は計算量的に十分手が届く範囲にあるとしているのは、面白い。

https://g-signon.nikkeibp.co.jp/front/login/complete/?ts=ne_reader&ct=m&ru=http%3A%2F%2Ftechon.nikkeibp.co.jp%2Farticle%2FMAG%2F20150113%2F398606%2F%3Frt%3Dnocnt&dp=2
http://www.sig-agi.org/wba

ロボットによるオートメーションが進むと、どんな世界が待っているか

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Ventureclef宮本 和明さんが、ロボットによるオートメーションが進むと、どんな世界が待っているかを描いている「Humans Need Not Apply」という題名のビデオが米国で議論を呼んでいると紹介しているのが興味深い。

ボストンに拠点を置くRethink Robotics社が開発したロボットBaxterは、製造作業で使われており、手本を見てそれを学ぶことができ、例えばYouTubeで料理番組を見て調理法を学習するインテリジェンスを持つが、特定のタスクをプログラムする必要はなく、ロボットが自律的に学習することができるもので、価格は2万ドル、維持費の電気代を加えても、人間より安く働くことができるという。

自動運転車についても、もう自動車を置き換えるか否かではなく、どれだけ早く置き換えるかが議論となっているとし、自動運転車は完璧である必要はないとも述べているが、米国では年間4万人が交通事故で亡くなっているらしく、自動運転車が人間の運転より安全であれば、多くの人命が救われるとしているのは、一寸乱暴だが一理あると思う。

高度なスキルを持っているホワイトカラーを置き換えるとも予測しており、まずプログラマーの仕事が危ういといい、今は人間がロボットの技量を上回るが、これからは、ロボットが自ら学習する能力を備え、技量が逆転すると見ているが、確かに株式取引で、もはや人間が関与する余地は無く、ニューヨーク証券取引所では、取引される株式の70%がアルゴリズム・トレーディングという統計もあるようだ。

新聞記事もロボットが書いているとし、特にスポーツ記事や決算レポートは、ロボットの得意分野で、企業業績の予測記事など、Narrative Science社のソフトウェアで書かれたものの背後に人工知能技術が使われているらしい。

弁護士や医師など専門職の仕事でも、例えば、裁判に備え、書類を作成するディスカバリーと呼ばれるプロセスでは、大量の資料を読み、新たな事実関係を見つけ出すことが目的であるが、ロボットは、電子メール、メモ、書類など大量の資料を過去に遡って読み進め、事実関係を明らかにすることができ、既に人間をコストや時間だけでなく正確性で凌駕しているという。

米国では医師の誤診により、毎月15000人が亡くなっているらしいが、IBMの人工知能「Watson」は、医師が患者に診断を下すために利用されており、ロボットの役割に期待が寄せられているらしい。

芸術家のように特別な才能を持つ人について触れている部分では、創造力は人間だけに備わった特別な才能でロボットに置き換わることは無いと思われてきたが、カリフォルニア大学サンタクルーズ校David Cope教授が開発した「Emily Howell」というソフトウェアが作曲したものを流し、ロボットは芸術でも威力を発揮しているとしているが、これはどうだろうか。

https://www.youtube.com/watch?feature=player_detailpage&v=7Pq-S557XQU

日本のベンチャー投資と大型資金のもたらすメリット

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WiL共同創業者の伊佐山 元さんが、日本のベンチャー投資も13年度で1800億円強と、従来にはないスピードで増えていると伝えている。

大型資金のもたらすメリットとして、自由度の高い経営を続けながらスケールの大きなビジネスにつながる先行投資を十分にしたうえで、従来型の時価総額100億円に満たないような小規模な上場ではなく、時価総額が1桁、2桁大きい上場企業を目指す準備ができる点、人材登用に思い切った資金を投じることができる点、目先の利益や、リスクをとるための「貯金」として、本来すべきではない受託事業や売り上げの見える無難な事業に手を出すことでイノベーションを加速する機会を失うことなく、時間をお金で買う」ことができる点などを挙げているのは尤もだと思う。

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO83559230T20C15A2X12000/

主要メーカーが量子ドット・ディスプレイに集中

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主要メーカーが量子ドット・ディスプレイに集中する理由は、LCDディスプレイの差別化アイディアが出尽くしているため、又、OLEDのメリットを早い時点で相殺する努力とも見られ、OLEDに集中するメーカーも量子ドット・ディスプレイを恐れ、量子ドット応用製品の開発を急いでいるという、IHS/Displaybankによる分析は尤もだと思う。

http://www.displaybank.com/_jpn/research/report_view.html?id=937&cate=6

経済成長に対して定量的に大きく寄与するのは何か

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REIの森川 正之副所長が、アベノミクスの「第三の矢」にも関連するが、潜在成長率を高めるための具体的な政策としては、貿易自由化(EPAなど)、規制改革、法人税減税が論じられることが多く、また、最近は、労働力人口の減少を背景に、女性・高齢者の労働参加率の引き上げ、外国人労働者の拡大も政策課題として挙げられることが多くなっているとしながら、どういう政策が経済成長率に対してどの程度の効果を持つのかが定量的に数字で示されることは少ないという点を取り上げている。

内外の既存研究や統計データを利用した概算によって、おおよそのマグニチュードを理解するためのベンチマークという位置付けで、各種政策の定量的な効果を比較しているのは参考になりそうだ。

経済成長に対して定量的に大きく寄与するのは、教育を通じた人的資本の質の向上、研究開発を通じたイノベーションの加速といった産業横断的なファンダメンタルズの改善とし、TPP協定、女性の就労率引き上げをはじめ頻繁に取り上げられる政策と比較して5~10倍にのぼる可能性が高いとしているのは、感覚的にも合うのではないだろうか。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/15p001.pdf

ウエアラブルデバイスとして電子的な機能を盛り込んだ衣服型デバイス

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日経ものづくり誌に、ウエアラブルデバイスとして電子的な機能を盛り込んだ衣服型デバイスの例を挙げているのが面白い。

例えば、トレーニングウエアに電極を組み込み運動時でも簡単に心拍数を計測できるゴールドウインの衣服型デバイス(C3fit IN-pulse)では、東レ、NTT、NTTドコモが開発した「hitoe」(ひとえ)という、直径が700nmのポリエチレンテレフタレート繊維に導電性高分子のPEDOT-PSSを含浸させた電極が採用されているようだ。

ヤマハの伸縮性に優れるバンド状の変位センサーには、カーボンナノチューブ(CNT)繊維にフッ素系エラストマーを含浸させたものが使用され、他にも、帝人と関西大学が開発した衣服型デバイスのセンサーやアクチュエーターとして使える織物、グンゼの衣服型デバイスの配線や電極として使える導電性編み物、ムネカタ(福島市)のセンサーや発電素子として使える薄型圧電シートなど、興味深く、今後の展開を見守りたい。
  
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83218310W5A210C1000000/?dg=1

多層ネットワークで入力イメージから特徴を抽出しオブジェクトを分類する「Convolutional Neural Networks(CNN)」という技法

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宮本和明さん(米ベンチャークレフ代表)が、プロセッサーなどを開発する米Nvidia(エヌビディア)による自動運転開発プラットフォーム「Nvidia Drive PX」を紹介している内容が興味深い。

NvidiaはDeep Learningの技法に、カナダ・トロント大学のAlex Krizhevskyらにより開発され、多層ネットワークで、入力イメージから特徴を抽出し、オブジェクトを分類する「Convolutional Neural Networks(CNN)」という技法を使う「AlexNet」を利用しているという。

ハードウェアは、最新プロセッサー「Tegra X1」を2個搭載し、並列多重、もしくは2多重に利用でき、テラフロップスを超える性能を有するとされ、将来のクルマはスーパーコンピューターを搭載し、ソフトウエアが走行を制御するという、まさに「Software-defined Car」、(ソフトウエアが自動車の機能を決定する)になるというのは、デモ走行テストの様子などから、実現目前のように見える。

NvidiaはドイツAudiと10年にわたって共同開発を続けており、AudiはDrive PXを採用する計画を明らかにしているが、自動運転技術のトップランナーはGoogleとの見方が多いなか、今後の展開はどうなるか見守っていきたい。


http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83306640X10C15A2000000/

映画「アメリカン・スナイパー」の印象

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映画「アメリカン・スナイパー」を観てきた。

評判通りに心を揺さぶられる作品だったが、何か心に陰のように引っかかるものも感じた。

これが何なのか自分でもはっきりしないでいたが、沢木耕太郎さんが朝日新聞に「戦場の職人と観客の共犯と」で次のように述べていたのと一緒だと感じている。

「見終わって、こう思わないでもない。
これは誰かが言うように反戦映画だったり厭戦映画だったりするのだろうか、と。
イーストウッドは、スナイパーという職人でもあり徹底した現場の人でもあったカイルの半生を忠実に描いていくうちに、彼の心の底にある思いを無意識のうちに掘り起こしてしまったのではなかったか。
その思いとは、そう、“だが戦争は楽しい”というものだ。
少なくとも私は、カイルが彼の言う“野蛮人”の頭や胸を正確に射貫いていくとき、快感に似たものを覚えているのに気がつき、ハッとしたものだった。」

しかし、それにしても、84歳の人がこのような作品を撮るのか、凄い、とうならざるをえない、というのは全く同感である。

http://www.asahi.com/and_M/interest/theater/SDI2015030385731.html?iref=comtop_fbox_d2_03
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