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Channel: IT起業研究所 ITInvC 代表小松仁
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なぜスイスで研究しているか

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世界が注目するロボット研究者で米アマゾン・ドット・コムが買収したロボットベンチャーの共同創業者でもある、スイス連邦工科大学(ETH)チューリヒ校のラファエロ・ダンドレア教授の日経紙インタビュー記事の内容が興味深い。

技術革新に対する同氏のスタンスは、自らは技術の可能性を極限まで広げる基礎研究に特化し、その研究成果を聞きつけた世界中の起業家と協力関係を構築して事業に発展させるという考え方で、非常に理解しやすいものとなっている。

なぜスイスで研究しているかの問いに、世界から集まる優秀な人材も多く、シリコンバレーのように人材争奪が激しくない、スイスは自然も豊かで住むのにも最高の環境だと答えているが、是非我々日本人でも同じような話ができないものかと思う。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79484430Q4A111C1X11000/?dg=1

3Dプリンティングはデザインのパラダイムを変えるという期待

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3Dプリンターや、同分野で使うソフトウエア、材料などの関連事業を手掛ける企業を対象とする、米オートデスクの投資ファンドThe Spark Investment Fundが、3Dプリント関連のスタートアップ企業や研究者に1億ドルを投資すると発表している件に関連した日経ビジネス記事が興味深い。

ハードウエア、材料、ソフトウエアがオープンな形で一緒に進化することが、3Dプリンティングの革新を加速するためには必要とする考えは尤もだと思う。

同社がサンフランシスコ湾岸ふ頭に開設した「Pier9」という施設では、コンシューマ部門の社員が働くほか、外部の約40人のデザイナーが創作活動に励んでいるという。

多くの製品は長らく、製造方法によって、形状や量が制約されてきており、機械や金型によって作れる部品の形が決まったり、金型費用とのバランスで最低でも量産したい数量が決まってきたりしてきたが、3Dプリンティングはデザイン(設計)のパラダイムを変えるという期待は的外れではなさそうである。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20141110/273616/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt

クラウドならではのイノベーション

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北米ハイテク企業の日本進出のアドバイザリー業務を展開しているカリフォルニア在住のコンサルタント鈴木逸平さんが、パブリッククラウドならではのイノベーティブなサービスを生み出し、従来型のIT資産をクラウドに移行するモチベーションを、ユーザー側が自然発生的に持てるようにすることが新しいパラダイムシフトにとって最も重要な要件であると、ZDNET上で提唱しているのが興味深い。

クラウドならではのイノベーションとして主要下記のアプリで、市場の主たるベンダーのほとんどがクラウド上でサービスを提供しているという現実を指摘しているのは尤もだと思う。

(1)ビッグデータ/アナリティクス
プラットフォーム上で簡単に仮想マシン/ストレージを実装することにより、大量のデータを拡張性の高い環境で運用し、高度な分析に活用する。

(2)モバイルアプリ
スマートフォンなどのデバイスに対し、レガシーも含めた多数のデータストアからデータを収集し、短い期間でのアプリケーション開発がクラウド上の環境に適している。

(3)ソーシャルアプリ
Twitter、FacebookをはじめさまざまなSNSからのデータを収集し、分析が可能なソーシャル系のアプリケーションもクラウド上での開発が効果的。

http://japan.zdnet.com/cloud/analysis/35055960/2/

日本のイノベーションの構造と3つの公的研究機関

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RIETI後藤 晃(ファカルティフェローが、日本のイノベーションの構造はどうなっているのか、どのように活発化すればよいのかという意識を出発点として、AIST(産総研)、RIKEN(理研)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の3つの公的研究機関に着目し、分析した結果を報告している内容が興味深い。

ドイツでは公的研究機関のミッションが明確に定義されており、マックス・プランク研究所が基礎科学を受け持ち、フラウンホーファー研究機構は産業技術の開発と産業界への橋渡しというように役割分担が明確になされているのは再認識される。

全国各地の公設試験研究機関(公設試)などの役割についても触れているのは参考になる。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/rd/093.html

女性幹部を増やすにはメンターだけでは不十分でスポンサーをつけるべき

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日経EW編集長などを歴任したジャーナリスト・淑徳大学教授の野村浩子さんが、いま欧米企業では、女性幹部を増やすには、「メンター」(相談役)だけでは不十分で昇進を手助けする「スポンサー」(支援者)をつけるべきだという議論が盛り上がっていると紹介しているのが興味深い。

Cスイートと呼ばれる最高○○責任者という経営陣を目指す女性には、スポンサーがいなくては昇進は不可能と言われるが、スポンサーを持つ女性は、いまだに同僚の男性の半数ほどらしい。

メンターやスポンサーは男女ともに必要であるが、男性はアフター5の酒の席やゴルフの席など非公式の場で自然に支援者を見つけることができるが、女性にはそうしたチャンスが限られるというのは尤もだと思う。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141106/273503/?P=2&n_cid=nbpnbo_author&rt=nocnt

インテル・キャピタルの投資の特徴

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インテルの投資部門インテル・キャピタルが毎年開催するIntel Capital Global Summitの様子を、シリコンバレー在住のジャーナリスト瀧口範子さんが紹介している内容が興味深い。

インテル・キャピタルの投資の特徴は、ポートフォリオ会社のエグジットによるリターンを目的とするだけでなく、大きなエコシステムが形成されるようなテクノロジーを後押しして、ひいては本業であるシリコンチップの需要を高めるというアプローチのようである。

通常、連続起業家や企業で経験を積んだベテランタイプが多いらしいが、今回、レゴを使ったポータブルの点字プリンターを開発した米ブレイゴ・ラボの創業者は13歳という若さだったようだ。

http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20141110/1147323/

モノづくりの回帰とイノベーション

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世界中の製造技術のトップ研究者たちが集う国際組織CIRP(国際生産工学アカデミー)会長の上田完次・東京大学名誉教授が、欧米と日本のモノづくりの動向を中心に論じている内容が興味深い。

世界各国とも民間企業レベルでは国際分業システムが確立し「製造機能は東欧、アジア、中南米におけばいい」との発想でものづくり機能をどんどん他国にシフトさせてきたが、ここ数年、国家レベルでは、各国とも、ものづくりは自前でやっておきたいという動きがでてきたというのは、再認識される。

「ものづくり」機能を自国にもっていないと付加価値のあるものが産まれない、新しい成長の源が産まれないということがみえてきた、自国の人材、製造技術、資金が流出したまま自分の国にはなかなか還元されず、その結果、新しい価値を創り出す力まで弱体化してきたというのは尤もだと思う。

日本は戦後復興・高度成長時代から石油ショックの頃までは、基本的にはキャッチアップ型イノベーションであり、米国モデルが先行して存在し、テーラー方式(科学的経営管理)を導入し、品質目標も所与でコスト最小化を達成させてきたわけで、労働費用が小さく、為替も円安で安定していたという、後続者優位の時代だったが、これまでの中国などの躍進も基本的にはキャッチアップ型によるものだと言えるというのは、的を得ていると思う。

次に、円高誘導のプラザ合意で厳しくなったが、労働費用の上昇、消費者嗜好の多様化、グローバル化という変化に対応し、FMS(多品種少量生産システム)の開発・導入と現場技術(カイゼン、JIT)で乗り越えてきたのは、インテグラル型で、適応型イノベーションの成功としているが、最近はその限界も指摘されているというのもよく理解できる。

参考になるのはドイツだとして、「Industry4.0」(18世紀の産業革命、20世紀初頭のフォード生産システムに代表される大量生産の出現、1970年代から始まった電気・電子技術による自動化に続いて、現在進行中のサイバーフィジカルシステムによる第四次産業革命を意味する)という国家プロジェクトを掲げて、IT技術などコンピュータソフト、情報ネットワーク技術の進化にあわせた次世代のものづくりの研究を始めている状況を改めて紹介している。

ドイツが面白いのは、産と学に境目がないことで、企業出身の研究者が大学教授として教えたり、大学の先生が企業連携の製品化技術を推進しているようだ。

また、かつて日独にキャッチアップされて、ITで凌いた米国が、ふたたび生産技術イノベーションに力点を置き始めたのは確かに注目される。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141104/273351/?P=2&n_cid=nbpnbo_author&rt=nocnt

プラスチック液晶画面技術

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Displaybank/IHS「プラスチック液晶画面の核心特許分析 Plastic Cover Window Key Patent Report – 2014」による分析が興味深い。

2000年にスマートフォンが登場し、ディスプレイ液晶画面市場で強化ガラス採用は増えたがプラスチックが減っていたのは、静電容量方式のタッチパネル、大画面、薄膜化とスリム化などを考慮して強化ガラスが採用されていたわけだが、最近フレキシブルディスプレイやウェアラブル機器への関心が高まり、ガラスの代わりに軽くて衝撃に強く、デザインに柔軟性があるプラスチックの研究が積極的に進んでいるようだ。

プラスチック液晶画面技術の出願件数を見ると、2008年から最近まで、特に日本が全体の62%を保有し最も多く出願しているが、主要プラスチック材料はPC/PMMA、メーカーは住友化学や三菱ガス化学などとなるらしい。

http://www.displaybank.com/_jpn/research/report_view.html?id=950&cate=4

AMOLED TV 技術と市場

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Displaybank/IHS 「 AMOLED TV 技術と市場 - 2014」によると、大型OLED TV技術に関し、予想より低い歩留まり率と高コストのため量産開始を躊躇するメーカーや、歩留まり率の確保と低コストの達成までは量産の具体的な計画は立てないというメーカーも出てきており、多くのパネルメーカーが大型OLEDパネル事業に消極的になっているらしい。

LCDの課題であった色の再現率、視野角、曲面パネルの実現などが急速に改善されてきている上、10年間構築されたLCD産業の豊富な供給先と価格競争力は、量産に入ろうとするOLED産業の立ち位置を脅かしているというのは、理解できる。

TVパネル開発メーカーは、有機発光層を溶液印刷工程で処理し、有機物の使用効率を高め、熱蒸着の生産性を上げることで注目されているSoluble Printing技術と、Glass Substrateでは不可能なBendableとFoldableTVを可能にすると見られ、今後のテレビ市場革新材料としても期待されるFlexible Substrate技術工程を組合せる技術を協力して開発中の模様だ。

生産性が改善され、LCDとの明確な差別化が確保できれば、大幅成長はスピードアップされると見ているのは、的を得ていると思う。

http://www.displaybank.com/_jpn/research/report_view.html?id=951&cate=2

シニア(年長者)にできる組織への最大の貢献は「ギブバック(give back)」

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インテカーの斉藤ウィリアム浩幸社長が、シニア(年長者)にできる組織への最大の貢献は「ギブバック(give back)」としているのは参考になる。

先人たちから受け継いだ財産は、まだ経験未熟な若者たちに手渡していく、現在の若者たちがシニアの世代になったら、また次の若者たちに受け継がせていくという循環は大事だろう。

もうひとつ、「手伝う」ということで、自らがプレーヤーではなくサポーターになる、チームの中で自ら輝くのではなく、チームが最大限力を発揮できる環境をつくり上げることに力を尽くすというのは、やはり大切なことと思う。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79634310T11C14A1905S00/?dg=1

アンチ・フェイスブックのソーシャル・ネットワーク・サービスello

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アンチ・フェイスブックのソーシャル・ネットワーク・サービスelloについて、ユーザーのデータを広告業界などに売ることで収入を上げることで悪名高いフェイスブックに対抗するため、同社はユーザーに実名での利用を強制せず、ユーザーのデータを売ることもなく、広告も表示しないと謳っている旨、瀧口範子さんが伝えている。

数社のベンチャー・キャピタリストから550万ドルほどの投資を受けているものの、今後儲けを出さなくても文句を言われないよう、公益法人として登録し直したようだという。

まだインターフェイスがこなれていないために少々使いづらく、また、「ソーシャル」だから、そこにたくさんユーザーがいなければ成り立たないという指摘は尤もだろう。

さらに、後発としては何か新しい機能性がなければ注目を集めないだろうという点では、今のところ、そうした新しい機能はエローには見られないようだ。

だが、もっとも大きな問題は、ユーザーが現状のソーシャル・ネットワーク・サービスに不満を言いながらもまだ愛想を尽かしてはいない点を挙げているのは、再認識される。

http://www.newsweekjapan.jp/column/takiguchi/2014/11/snsello.php

アップルと超硬質サファイアガラス

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新型iPhoneのスクリーン用に、超硬質サファイアガラスを供給する予定だったGTアドバンスト・テクノロジーズ社が経営破綻した件で、WSJ誌が伝える内容が興味深い。

アップルとGTは10億ドルをかけてアリゾナ州に工場を建設し、世界のどのサファイアガラス工場より30倍も多く製造できるはずの計画で合意していた。

サファイアは地球上で最も硬い物質の一つで、すでにアップルはiPhoneのカメラレンズや指紋読み取り装置に使っており、世界のサファイア供給量の4分の1を消費しているというのは、改めて驚く。

ただし、ガラスの5倍以上と価格も高く、またアップルの望む価格でサファイアを製造すると利益を出せない状況でもあったらしく、ブール(円柱形のサファイアガラス)1本を製造するのに約30日の時間と2万ドルのコストがかかり、さらにブールの半数以上は使用不能だったという製造上の問題は大きかったようである。

液晶ガラスからさらにサファイアガラスという硬くて傷がつきにくく高級感のあるディスプレイという魅力の一方、世の中の動向がウェアラブルやフレキシブルの方を向いていることから、再度プラスチックに向かっていくのが見え始めているようでもあり、今後注意深く見守っていく必要がありそうだ。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB12711975506514794531604580288170133485504?mod=djem_JapanWeekendDigest_t

アメリカに浸透した日本語の単語:futon、Bento?

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シリコンバレー在住渡辺千賀さんが「On off and Beyond」で、アメリカに浸透した日本語の単語の例としてfutonを挙げ、日本のオリジナルな意味を離れて、「スプリングが入っていないマットレスが、ソファベッドのフレームに乗っているもの」という意味になっているらしいが、余程の老人でない限り大抵のアメリカ人が知る言葉になっている、というのは改めて面白い。

最近では、「いろいろな食べ物が取り混ぜてサーブされるもの」がBentoというイメージなようで、「持ち運びできる」という弁当のポータビリティは無視されている模様だが、10年後には広がっているのだろうか。

http://chikawatanabe.com/2014/11/12/bento/#more-2332

国内のGDPマイナスと株式市場上昇

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在米作家・ジャーナリストの冷泉彰彦さんが、7~9月期のGDP速報値が年率換算でマイナス1・6%だった件に関連し、「アベノミクス」で、日経平均は9000円前後から最高値の1万7000円ぐらいまで88%上昇したというのは事実だが、同時に円は80円から116円まで対ドルで31%下落しており、日経平均はドルで見れば30%しか上昇していない、というのは面白い見方だと思う。

2012年末から2014年末で30%というのは、NYダウの上昇率と同じであり、仮に日経平均の対象銘柄が北米を中心としたグローバルな市場を相手に、NYダウと同様に成長していたとして、株価がNYダウと同じように30%上昇したとすると、ドル円の為替レートが動いただけだとして、現在の「アベノミクス株高」は説明できてしまう、ということになる。

国内のGDPがマイナスというのはどういうことなのか。

グローバルな市場を相手にビジネスをしている部分は、北米などの景気の安定した市場で業績を伸ばすことができるし、その収益を「安くなった円に換算後の膨張した数字」で見ることもできるわけである。

一方、国内を相手にしている内需型のビジネスは人口減によるデフレ的な消費者心理や弱い官需、弱い設備投資の影響をひきずっており、それが「マイナス」という数字になっているわけであり、そう考えれば円安が株高になること、その一方で、GDPがマイナスになることの説明はつくというのは、面白い。

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2014/11/post-694_1.php

自然言語解析技術応用のイノベーション動向

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Ventureclef宮本和明さんが、音声アシスタント機能搭載のスピーカー「Amazon Echo」について話している内容が面白い。

常にオンの状態で、「Alexa」と呼びかけ、音楽を再生、最新ニュースを聞いたり、検索機能で質問するとWikipediaなどを参照し回答するらしい。

「Alexa, set timer for eight minutes」と指示するなど、料理で両手がふさがっている時は音声インターフェイスのAmazon Echoは便利だろう。

さらに、ショッピングリスト追加機能、目覚まし時計の機能などあり、「Alexa, give me my flash news briefing」と指示すると、Amazon Echoはニュース (NPR News) を読み上げるなど、Amazon Echoが家族の一員となるストーリーを提示しているようだ。

自然言語解析技術応用製品としては、AppleはSiriを、GoogleはGoogle Nowを、MicrosoftはCortanaを既に展開しており、音声アシスタントや人工知能では出遅れた感があるが、これで巻き返しを図ろうとしている様子が見える。

スマートホームのハブとして機能する面では、Appleは「HomeKit」を発表しスマートホーム事業を始動しており、Googleは傘下の「Nest Labs」でインテリジェントなサーモスタットを開発中、更にNest Labsはスマートホーム新興企業「Revolv」を買収し開発を加速しているなど、これも熾烈な競争になることがうかがえ、今後注視していきたい。

さらに、「Siri」のように、ヒトの言葉を解釈し、意図を把握する技術を開発している「Wit.AI」というベンチャー企業を紹介しているのが興味深い。

キーボードを持たないデバイスに特化して技術開発を進めており、これらデバイスは音声が唯一の入力モードで、ウエアラブル、自動車、スマート家電、ロボット、ドローンなどへの展開を目指しているようだ。

技術的には、オープンソース・ソフトウェア「CMU Sphinx」を利用しているらしい。

既に3000社で利用されているらしく、SamsungやPebble はスマートウォッチでWit.AIを利用しているとのこと。

ソフトバンクに「Pepper」を供給しているフランスのロボット開発企業Aldebaran Roboticsの小型ロボット「Nao」で利用されているとのこと。

http://ventureclef.com/blog2/

高倉健さんへの追悼

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高倉健さんが亡くなっていまだに何か虚しさが残っている。

周辺の人々の追悼の談話、メッセージが続いているが、何とも言い難い、一個の人間像が消えてしまったという感じである。

昭和の時代が終わってからもう四半世紀経つが、実感としてこれを感じる。

2年ほど前に刊行された「高倉健インタヴューズ」を読み返すと、遺作となった「あなたへ」の撮影の前の心境について、日経電子版で述べている内容が紹介されており、記事を読んだ当時、如何にも健さんらしい心根と感じたことを改めて思い出す。

「・・・そんな弱りかけた気持ちに、ビシッとムチを入れてくれたものがあります。
それは、雑誌に掲載されていた一枚の写真でした。
イタリアにお住まいの作家の塩野七生さんが、現地の週刊誌に載っていたと紹介している写真でした。
気仙沼の被災地のがれきの中を歩く少年は、避難所で支給されたものでしょうか?
袖丈の余るジャンパーにピンク色の長靴をはいています。
両手には一本ずつ、焼酎の大型プラスチックボトルを握っています。
彼は、給水所で水をもらった帰りなのです。
その水を待っているのは幼い妹でしょうか?
年老いた祖父母なのでしょうか?
私の目をくぎ付けにしたのは、うつむき加減の少年のキリリと結ばれた口元でした。
左足を一歩踏み出した少年は、全身で私に訴えかけてきます。
『負けない。絶対に負けない…』
私は、その少年の写真をB5版のサイズにしてもらいました。
映画の台本の大きさです。
『あなたへ』の台本の裏表紙にその写真を貼りつけた時、胸の奥からほとばしった熱情。
クランクインは、数日後に迫っていました。」

ところで、富士通総研 経済研究所主席研究員の柯 隆( Ka Ryu)さんが、高倉健が亡くなったことをニュースで知った中国人の多くは、「微博」(中国語版ツイッター)に追悼の意を表すコメントを寄せた(それらのコメントにはロウソクのマークがつけられていた)、高倉健は、40代以上の中国人にとってまさにヒーローであった、「改革開放」の初期、中国社会はまるで文化的に砂漠のような状況だった、そこに滋養たっぷりのミネラルウォーターが注がれるように、高倉健の映画(「君よ憤怒の河を渉れ」など)が上映されたのだったと伝えている。

日中の架け橋という観点からも実に惜しまれる。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42267

TSensors(Trillion Sensors)プロジェクト

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SPPテクノロジーズ エグゼキュティブシニアアドバイザー 戦略会議議長神永 晉さんが、年間1兆個のセンサーを使用する社会「Trillion Sensors Universe」を目指して2013年に米国でスタートした「TSensors(Trillion Sensors)プロジェクト」について、医療・ヘルスケア/農業/環境/社会インフラなどあらゆる分野がセンサーで覆われるようになり、これらのセンサーはネットワークに接続されてビッグデータの適用範囲を拡大し、社会や生活を大きく変えることになると紹介している内容が興味深い。

全てのものがネットワークに繋がっていくM2M、IoE (IoT)の世界では、バイオ、医療、ナノテク、ネットワークとセンサー(2033年までの20年間で45兆個)、3Dプリンター、コンピューターシステム、人工知能、ロボティクス等の指数関数的テクノロジーによって、供給が需要を上回るAbundance(潤沢な世界)を実現して、地球規模の課題を解決するという。

今後、日本からの寄与、参画がさらに深まることを期待したい。

http://www.semiconjapan.org/ja/node/3411

ベンチャー界的に「バブルが始まった」?

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シリコンバレー在住の渡辺千賀さんが、11月24日に6500万ドル、70億円以上を調達したYik Yakを採り上げ、そもそも「匿名つぶやき」自体に永続性があるのか懸念し、人気映画のように、どんなに大当たりしても一定期間しかもたないただの流行ではないのか、それに数十億円単位の資金が次から次へとつぎ込まれる現状はバブルではないのか、ついにシリコンバレーのバブルが始まったと思っていると、伝えている内容が興味深い。

「創業者はエンジニアでアプリは内製」という「ベンチャー成功の法則」に反している点をあげているのも面白い。

http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/watanabe/20141127-OYT8T50174.html

「知的職業訓練」に比重を置く大学や学部がもっと増えていい

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TechMom海部 美知さんが、最近国内で、大学教育をもっと実践的な内容に編成し直すべし、「G(グローバル)」と「L(ローカル)」に区分すべしといった議論がされていることに関連して論じている内容が興味深く参考になる。

米国では、リサーチ大学として、大学院を持っていてそこでの学術研究が主要な目的となっているハーバードやスタンフォードなどの大学がある。

一方、大学院がなく、学部における「学生の教育」が主要な目的であるリベラルアーツ大学があり、東ではウィリアムズ、アムハースト、スワスモアなど、西ではクレアモントなどが上位にランクされているようだ。

また、「米国では州立大学よりも私立大学の方が上」と言われるが、一概にはそうは言えないとし、カリフォルニア大学バークレー校(UCB)を始め、イリノイ大学アーバナシャンペーン校、ミシガン大学アンアーバー校、テキサス大学オースティン校など、多くの州立大学がトップクラスにランクされているらしい。

カリフォルニア州でも、UCに対し、カリフォルニア州立大学(California State University, CSU)があり、「職業訓練」が目的となっているらしく、「製造部門」で黙々とコードを書いたりバグを潰したり、サーバーのメンテナンスや通信設備の最適化をしたり、あるいはそれらの人達をまとめるグループのリーダー、といった人たちが不足していることから、実践的な技能とクリエーティブ力を併せ持つ「中間的」な新しいタイプのテクノクラートがたくさん必要とされており、CSUシステムはこうした教育を目指しているということのようだ。

伝統的なアカデミック指向・リサーチ指向とは違う、「知的職業訓練」に比重を置く大学や学部がもっと増えていいように思うとしているのは、尤もだと思う。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20141125/274209/?P=1

IoTを一過性のブームとしない

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IoTが一過性のブームで終わってしまうのではないかと警鐘を鳴らす、日経コンピュータ記事が面白い。

確かに、つなげる機器や設備が高価であることが、IoTシステムの成功の条件になっているようにみえるのは間違いないだろう。

建設機械や工作機械、医療機器、ビル設備、オフィス用複合機などの稼働データを監視して異常発生を即座に検知したり、収集したデータを分析して予防保全につなげたりすることによって、稼働時間を長くする利用形態は、機器や設備の価格が高いからこそ、1台当たりのIoTシステムのコスト(通信モジュール、通信回線、ITシステムの初期投資や運用費)を上回る価値を、顧客やメーカーに提供できるという側面があるように見える。

一方、多数の安価なセンサー機器を新たに設置するような農業やインフラ監視などの用途は、実証実験の域を出ていないらしい。

IoTを生かした新しいビジネスモデルを作り上げることが必要とされるのは間違いないようにみえる。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/112500122/?mle
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