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機械学習の「工学」としての体系化目指す組織が発足 機械学習工学の動向

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機械学習の「工学」としての体系化目指す組織が発足 機械学習工学の動向1)」の《日経Robo》記事が参考になると思う。
 
自動運転車やロボットなど安全が重要視されるシステムに、ディープラーニングなどの機械学習・AI(人工知能)技術を適用する際、その品質をどのように担保すべきか、研究会やコンソーシアムなどが相次いで発足している様子がよく分かる。 

 
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こうした動きが相次いでいるのは、機械学習を用いて何らかのシステムを構築しようとする際の体系的なアプローチがまだ存在しておらず、多くの組織やコミュニティが危機感を抱いているからで、「コツ」や「ノウハウ」といった切り口で議論している段階では、成熟したエンジニアリング体系にはなり得ない、というのは尤もだと思う。
 
そもそも技術の世界では、仮にモノは作れたとしても、なぜそれが作れるのか、どのようにするとうまく作れるのかという工学的な体系は、モノを作れるようになった後、追い掛けるようにして構築されるのはよくある現象であるというのもよく理解できる。
 
AIや機械学習はブームのような様相を呈しているが、少なくとも現在のソフト工学と同程度には十分な体系化がなされなければ、社会の期待に応えにくくなる、機械学習の品質や性質を技術者や研究者の側が体系化し、注意点やリスクなどを技術のユーザー側に正しく伝えて啓蒙していかなければ、機械学習やAIに対する無用な誤解や過大な期待がブームの副作用として生じる、そうした危機感が機械学習の研究者や技術者にはあるのは間違いないだろう。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁


「続ける力=グリット」は感動体験が生む、「人格の時代」だからこそ、「好き」を追求しよう

ビットコインが地球の気温を2度上げる?過激な論文に批判

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MIT Technology Review記事「No, Bitcoin probably won’t doom our climate—but we have no idea howmuch electricity it uses ビットコインが地球の気温を2度上げる?過激な論文に批判」(Mike Orcutt  暗号通貨とブロックチェーンを担当する准編集者)が面白い。

 
ビットコインが現在どれほどの電力を消費しているのか、あるいは今後どれだけ消費するのかは誰も分からない。ネイチャー・クライメート・チェンジ誌に掲載された新たな分析結果は、ビットコインによる環境への影響をもっとも衝撃的に主張している。ビットコインの採掘(マイニング)による二酸化炭素排出量だけでも、地球の気温をわずか20年以内に2℃上昇させるかもしれないという。
 
ビットコインの熱烈な愛好家やエネルギー専門家らはこうした仮説や(結論に到達した)方法論を批判し、この論文を痛烈に非難している。だが、ビットコインが膨大な量の電力を使用しているのは間違いなく、単にその規模や影響力を的確に評価するデータが不足しているだけなのだという指摘は、的を射ていると思う。
  
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IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

IOT/ AIビジネスカンファレンス

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IOT AIビジネスカンファレンスで、「転換期のIoT,実装に向けた新たな取り組み」のパネルディスカッションが興味深かった。
 
モデレーター:野村総研 桑津浩太郎氏
パネリスト:(一社)インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブIVI、(一社)セキュアIoTプラットフォーム協議会、(一社)日本ディープラーニング協会、(公社)日本ロジスティクシステム協会
 
また、京セラコミュニケーションシステムの松木憲一氏によるIoTネットワークSigfoxの紹介も、興味深かった。
 
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IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

中島聡氏の2030年予測:経団連を見ると『GAFAに勝てるワケがない』

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Windows 95の父、中島聡氏の2030年予測:経団連を見ると『GAFAに勝てるワケがない』」が面白い。
  
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たとえば、いまの経団連(日本経済団体連合会)の重鎮の面々を見てください。全員が男性、65歳以上、転職経験も起業経験もなし、雇われ社長ばかり。こういう人達が、日本の経済界に大きな影響力を持っているからダメなんですよ(笑)。これでは、グーグルやアマゾンにも勝てるわけがありません。そもそもプロ野球と草野球ぐらいの差がありますからね。
 
(「新経済連盟」のような、楽天の三木谷 浩氏やサイバーエージェントの藤田 晋氏など有力ベンチャーが経済界を主導していこうという動きもありますが?)
マクロ的には彼らに期待しています。しかし1つ心配な点は、日本のベンチャーには明確なビジョンがないところが多いことですね。ビジョンを持つ会社は、最初にやりたいことがあり、それを実現するためにビジネスを実現しています。コアとなる強い思いに対して人とお金が集まり、そこでビジネスをするのが正しいベンチャーの在り方です。
ビジョンがない会社は、とりあえず儲けに走ります。それが社会的にどう影響を与えるのか、弱者から搾取するビジネスであろうが関係ないのです。いまビジョンのない会社は、射幸性の高い有料ガチャやビットコインなどの暗号通貨に走っています。そういう会社はダメ。まったく価値を生み出していませんからね。
実際に、マイクロソフトにしてもGAFAにしても、そんな「搾取的なビジネス」には手を染めていませんよ。僕は新しい企業を応援したいのですが、現状でいうと日本のベンチャーはちょっと情けないと感じています。しっかりビジョンを持ってほしいです。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

英語のできない日本男子が祖国を滅ぼす 世界英語能力ランキングで日本は49位に転落 韓国は31位

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在英国際ジャーナリスト木村正人氏が、88カ国・地域130万人の英語能力を分析した世界最大の「EF EPI English Proficiency Index=英語能力指数)」2018年版で日本のスコアは低いレベルの51.849位にまで転落、この調子だとランキングがどこまで下がるのか見当もつかないとしているのは、実に気になる。
 

 
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日本のランキングを下げているのは男子で、日本男子のスコアは49.9と世界平均の52.63、アジア平均の53.07に比べて随分、低くなっているが、一方、日本女子のスコアは54.11と世界、アジア平均の各54.57とそれほど変わらないらしい。
 
また、英語と技術革新に正の相関関係があるらしいが、日本語で得られる情報量と英語で得られる情報量には雲泥の差があるというのは、尤もだと思う。
 
島国の日本は鎖国という歴史もあり、放って置くとどんどん内向きになってしまい、英語教育だけでは限界があるというのも的を射ているだろう。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

事実は小説より奇なり

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シリコンバレーのコンサルタント校條浩さんがシェアし紹介している、谷本正さんの「事実は小説より奇なり」の内容が、実に面白い。
 

 
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スターバックスの中興の祖、Howard Shultz氏のトークだった。
今回はその第一弾、いわゆる「創業秘話」について。
スターバックスという会社自体は、1971年に4人の創業者によって設立された会社で、シュルツ氏はその後、1982年に入社したいわゆる「一従業員」だった。ただ、彼は若いながら夢と情熱にあふれ、商才もあったようで、元々はコーヒー豆の会社だったスターバックスを、いわゆる今の形態に近いコーヒー販売をする店に転換する提案などをしていた。しかし、提案が思うように受け入れられなかったため、シュルツ氏は会社を退職し、持ち前の夢と情熱で、自分でコーヒー店を経営し、成功を収めていた。
その後、シュルツ氏のいないスターバックスは「ピーツ・コーヒー」を買収して店舗展開の拡大を図ったが、思うように行かず、深刻な経営難に陥った。そのときに、オーナーの一人がシュルツ氏に、「スターバックスを買う気はあるか?」と打診してきた。当時の規模は6店舗、従業員(含むバイト)100名程度だった。提示価格は$3.7M(4億円)。「2ヶ月は、他に声をかけずに待つから、その間にお金を集められたら譲るよ」と言われ、シュルツ氏は2つ返事でOKし、早速資金調達に奔走した。
しかし、1ヶ月ほど経ったとき、オーナーから連絡があり、以下のような会話が交わされた。
「資金調達の調子はどうだい?」(オーナー)
「半分近く集まりました」(シュルツ氏)
「実は、すぐにでも買いたい、と言ってきた投資家がいて、即金で$4M(約4.5億円)払ってくれるらしい。彼に売ろうかと思う」(オーナー)
「え、2ヶ月待ってくれる約束じゃ、、、、」(シュルツ氏)
「ちょっと2ヶ月は無理だなー」(オーナー)
シュルツ氏は真っ青になって、狂ったように手当たり次第、知り合いに連絡をとり、なんとか資金を集めようとした。
すると、弁護士をしている友人が、「事務所のシニアパートナーに話したら興味を示してくれた。明日事務所に来てくれ」と連絡をくれたので、早速翌日朝一番に、そのシニアパートナーを訪問した。
シニアパートナー氏は、ずっと黙ってシュルツ氏の話を聞き、最後に、「2つ教えてくれ。まず、いまいったことはずべて真実だな。そして、君が知っていること、考えていることはすべて話してくれたかな?」と聞いてきた。シュルツ氏が「はい」と答えると、シニアパートナーは「では、2時間後にもう一度事務所に来てくれ」と言った。
2時間後、事務所を訪ねると彼は、「じゃあ、散歩に行くか」と、行き先も告げずにシュルツ氏を外に連れ出した。
そして、向かった先はなんと件のオーナーの事務所。シニアパートナー氏は、シアトルでは非常に有名な弁護士、ビジネスマンだったのでオーナーとも面識があった様子だった。だが、オーナーのオフィスに入った途端、シニアパートナー氏は大声でオーナーを恫喝した。
「恥を知れ!」
「せっかくの若者の情熱と夢を踏みにじる奴は許さん!」
「今すぐ他の話は断れ!」
「金は私と息子でなんとかするから、会社はシュルツ氏に絶対に売るように」
と、ものの10分で話のけりをつけてしまった。
そのシニアパートナー氏のおかげで、シュルツ氏はスターバックスを手に入れることが出来、今日の大成功につながったのだ。
シニアパートナー氏は、自分が支援したことが知れ渡るのを嫌ったため、1年半前にあるカンファレンスでその話をするまで、シュルツ氏も彼の名前を一切公表しなかった。
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そのシニアパートナー氏の名前は、Bill Gates Senior。ビルゲイツのお父さんである。
そして、1年前に初めてその話を人前でしたのはマイクロソフト社のエグゼクティブセミナーだった。
なんと、この話はビルゲイツ本人にも知らされておらず、シュルツ氏が、「私の今を作ってくれたのはあなたのお父さんなんですよ」と言ったときのビルゲイツの驚いた顔は、相当見物だったそうな。
世の中狭い、というか、事実は小説よりも奇なり、と言うかやはり、正しい目的を持って、熱意と情熱を絶やさなければ、必ず良い人に出会うことが出来る、という素敵な事例。胸熱です。
 
IT起業研究所TInvC代表 小松仁

「起業家ファースト」の実践

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WAVE)スクラムベンチャーズ代表の宮田拓弥さんが、“「起業家ファースト」の実践”と、日経産業新聞に載せている内容が参考になると思う。
 

 
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米国のYコンビネーターはシリコンバレーに本拠を置き、「インキュベーター」と呼ばれるスタートアップ育成機関の先駆けで、エアビーアンドビー、ドロップボックス、ストライプなど、名だたる世界的なスタートアップを生み出し続けているようだ。
 
Yコンビネーターはこれまでの14年間で、スタートアップ1906社を育成しており、ユニコーン(時価総額が10億ドル=1000億円を超える未上場企業)を16社生み、トータルでの時価総額は10兆円を超えているという。
 
Yコンビネーターの成功のキーワードは「起業家ファースト」だという。
 
年に2回、世界中からスタートアップの参加を募り、書類選考とほぼ全員が元起業家であるパートナーとの面談を経て、1回当たりで150社程度の会社が選ばれ、選ばれた会社には7%分の株と引き換えに、約1400万円の資金が提供され、この資金を使い、このプログラムの一つのゴールである「デモデー」に向けて3カ月間、製品を開発し、営業活動をするという。
 
有名起業家を招く週1回の参加者ディナー、4000人以上の卒業生のネットワーク、ベンチャーキャピタル(VC)のネットワークを通じて、製品やサービスの開発へのアドバイスだけでなく、直接的に4050社程度の顧客も紹介してくれるらしい。
 
デモデーはプログラムの最後に開かれる投資家を集めた発表会で、単なるイベントではなく、その場でどんどん投資が行われるが、投資家は「ハンドシェイクプロトコル」と言って、その場で「投資をしたい」という意思表示をすると、それが正式なものとみなされ、仮に後で「やはり投資しません」となると、ルール違反ということで二度とデモデーには呼ばれなくなる、これは起業家の時間を尊重し、少しでも時間を節約するための配慮なのだという。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 


自律ロボットによる月額制宅配サービス、英国で始まる

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英国のミルトン・キーンズという所で、ロボットによる配達サービスが始まったと、MITTechnology Review記事が伝えており興味深い。

The world’s first robot delivery serviceis launching in the UK

 

 
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サービス利用者は、通販などで商品の配送先として専用の倉庫を指定し、商品が倉庫に到着すると利用者にはアプリで通知が届き、配達時間を指定するとロボットが玄関先まで商品を届けてくれるというサービスのようだ。
 
月額7.99ポンド(10ドル)のサブスクリプション・サービスで、利用回数は無制限、サービスは、年末までにサンフランシスコのベイ・エリアでも始まる予定らしい。
 

ロボット配達に取り組む企業は、このサービスを提供するスターシップ・テクノロジーズ(StarshipTechnologies)のほかにもあるらしいが、一般向けの本格的なサービスとして提供されるのは、今回が初と言っていいようだ。

 
スターシップ・テクノロジーズは4年前の創業以来、ロボットを20カ国で約201000キロに達する距離を走らせる膨大なテストを実施してきたという。
 
一方、配達がされなかったり、指定時間通りでなかったりというのはよくある悩みではあるものの、サービスを受けるために必要な手間やコストを払うだけの価値はあるのだろうか、それに、商品が盗まれたり、ロボットが破壊されたりする落とし穴もあるなどの指摘は、今後具体的な課題として出てくるだろうと思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 

米国University of Maryland、College Parkでも、量子コンピュータの研究がだいぶ進んでいる?

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昔、大学院に留学していた米国University of MarylandCollege Parkでも、量子コンピュータの研究がだいぶ進んでいるようだ。

Could College Park Be Ground Zero for aQuantum Computing Revolution?

 

 
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IT起業研究所ITInvC 小松仁

MITが『AI physicist (AI物理学者)』を開発、複雑な架空世界で物理法則を導き出す

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MIT Technology Review記事「An AI physicist can derive the natural laws of imagined universes MITが『AI物理学者』開発、複雑な架空世界で物理法則を導き出す」の内容が興味深い。
 
ガリレオは天才的に、空気の抵抗、温度、光のちらつき、騒音、他の人々といった大聖堂に存在する厄介な詳細をすべて無視し、突出した細部に焦点を当てて、ランプの揺れる周期だけを使ったシンプルなモデルを考えたという。
 
多くの歴史家にとって、ガリレオのアプローチは科学的方法の発展における初期段階を代表しているようだ。
 
ガリレオがしたように、観察対象の世界のさまざまな様相を説明するのに必要な情報に的を絞って理論​​を生み出すAIシステムを作ることは可能だろうか。
 
MITのテイリン・ウー研究助手とマックス・テグマーク教授が研究開発したのは、ガリレオのアプローチや何世紀にもわたって物理学者が学んできた他の秘訣の真似をするAIシステムで、「AI physicist  AI物理学者」と呼ばれるこのAIシステムは、私たちの世界の複雑さを模倣して慎重に構築した不思議な世界(mystery worlds複雑な架空世界)を支配する物理法則を引き出すことができるという。
 
物理学者は多くの思考プロセスを利用して問題を単純化する、最初にすることは、データセットのごく一部を説明する理論の構築で、これは、たとえば量子力学や相対性理論のように、データのさまざまな様相をすべて説明する複数の理論を生み出す。
 
ウー助手とテグマーク教授が開発したAI物理学者は、大きなデータセットを、これと同じような方法で扱うようだ。
 
物理学者が使用する別の一般的なルールは、「オッカムの剃刀」と呼ばれる、より簡単な説明が優れているという考え方で、だからこそ、一般に物理学者は、宇宙や地球、生命自体を創造するプライムムーバー(第一運動者、神)を必要とする理論を否定する。
 
AIシステムが過度に複雑なモデルを作成して、訓練に使用したデータの説明をすることはよく知られているが、ウー助手とテグマーク教授は、システムが、複雑な理論よりも簡単な理論を好むようにし、この際に2人が使った方法は、理論が内包する情報量に基づいて、複雑さを単純に測定するというもののようだ。
 
物理学者が首尾よく法則を見つけ出すのに役立つ最後の原則は、生涯にわたる学習で、これは、特定のアプローチが過去に有効であったならば、将来の課題にも役立つかもしれないという考えに基づいている。
 
そのため、ウー助手とテグマーク教授が開発したAI物理学者は、学習した解決策を覚えておいて、将来の他の課題に当てはめようとするらしい。
 
AI物理学者の振る舞いを、同じアプローチを使用しているが生涯にわたる学習という強みを持たない「Newborn Physicist 新生児物理学者」、および、従来のニューラル・ネットワークと比較してみたらしい。
 
実験の結果、AI物理学者と新生児物理学者のいずれも、妥当な物理法則を導き出せることが分かったとし、両者は、40の不思議な世界(40 mystery worlds)を支配する物理法則の90%以上を見い出せたらしい。
 
AI物理学者は、従来のニューラル・ネットワークよりもはるかに優れており、AI物理学者は一般的に、同等の複雑さの標準的なフィードフォワード方式のニューラル・ネットワークよりも速く学習し、平均二乗予測誤差については約10億分の1になったと報告している。
 

 
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IT起業研究所ITInvC 小松仁

人工知能が変える経済

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経済産業研究所RIETIの馬奈木 俊介 ファカルティフェローが、「人工知能が変える経済」の中で指摘している内容は、いずれも的確で参考になると思う。
 
 
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・現状われわれが想定するような実社会での高度なAI普及には大きな課題もある。それはAIにとって、初歩的な知覚、運動スキルの習得には膨大な時間がかかることである。つまり、これまでわれわれが想像していたように、近い将来にわれわれ人類と同様に行動をして、労働を行うAIを搭載したロボットの普及は、AIの進歩だけでは不十分であり、知覚、運動スキルを制御する技術や、ロボット自体が柔軟な行動を可能とする工学的な技術が必要となる。つまり、将来的にAIの技術が急激に進んだとしても、関連するさまざまな技術発達がAIの深い社会実装には必要であり、不確実な要素が多分にある。
 
・これまでのAIブームでは日本における研究水準は高い水準にあり、国際的に競争可能な技術的な優位性があった。しかし現在では、AI関連の国別論文数では、インドや中国にも追い抜かれるだけでなく、その他の欧米諸国にも技術的に劣っている。
 
AIに必要不可欠となる大量のビッグデータの供給の問題を考えよう。アメリカにおいては、企業の個人情報を条件付きで利用可能なように、個人情報に関する法制度の整備が行われている。一方、これまで日本においては個人情報保護法によって個人情報の第三者利用が不可能であり、AI開発に必要なビッグデータの整備が遅れてしまっているのが現状である。20175月に改正された個人情報保護法が施行され、条件付き(個人が特定できないように加工した上で)の利用が認められるようになった。この改正個人情報保護法で重要なことは、個人情報が定義されたことである。改正前は個人情報の定義が不十分であったため、これまで企業や大学など個人情報の活用の際に比較的厳しい条件の下での利用になっていた。そして、これが、今まで、日本での個人情報の活用が遅れてきた背景である。日本企業は限られたデータのために、企業間の連携した情報集積の土台はまだできていない。
 
・すでに日本は、AI開発についてはアメリカやインド、中国といった新興国に後れを取っている。こうした原因はAI開発・普及のための経済的な投資だけでなく、研究体制自体の在り方、法制度、教育、さまざまな面での対応が遅れてきたことが起因しているといえる。つまり日本における科学技術に対するこれまでの不十分な対応の積み重ねこそが、根本的な原因である。そのため今後、日本はこれまでの科学技術に対する在り方を根本から問い直すとともに、具体的にAIという向き合うべき革新的な技術をどのように生かしていくか、考える必要がある。
 
・具体的には単純に遅れている基礎技術に注視するのではなく、基礎技術を応用するような分野におけるキャッチアップを行う方策が有効であると考えられる。現状、すでにGoogleをはじめとした世界規模でのビッグデータを持つ巨大企業があり、そのデータ量によるAIの開発では競争上の優位を確保することは難しい。そのため、現状のAIに関する基礎技術を連携し、社会での応用に生かにしていくかという分野において、競争力を磨いていく方策が考えられる。
 
・それと付随し、これまで日本で培ってきたロボット技術やその他の物的な技術が広く活用する新たな需要の発掘も可能となると考えられる。現状のAIは、大量のデータの法則化を行う能力においては非常に強力な力を発揮する一方で、2020年代より本格化すると予想されている現実社会のわれわれの生活の場の中で活躍するAIのためには、その受け皿となる既存の物的な技術を生かした新たな機械が必要となる。
 
IT起業研究所ITInvC 小松仁

スマホ操作でメンタル診断 うつ病の「謎」に迫る米スタートアップ企業

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MIT Technology Review記事「The smartphone app that can tell you’re depressed before you know ityourself スマホ操作でメンタル診断 うつ病の「謎」に迫る米スタートアップ企業」(Rachel Metz モバイル担当上級編集者)が紹介している、文字入力やスワイプ、タップと言ったスマホの日常的な操作から最も難治性の高い疾患(うつ病、統合失調症、双極性障害、心的外傷後ストレス障害、薬物乱用)の治療に、スマホが役立つことを証明しようとしているのは面白い。(マインドストロング・ヘルス Mindstrong Health

 
共同創業者のトム・インセル博士(精神科医、前国立精神衛生研究所所長)、ポール・デイガムCEO

 
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IT起業研究所ITInvC 小松仁
 

太陽系外から飛来の物体『エイリアンが送り込んだ可能性

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「太陽系外から飛来の物体『エイリアンが送り込んだ可能性』 米大の仮説が話題に」というAFP記事で、観測史上初めて太陽系外から飛来した小惑星と2017年に認定された「オウムアムア(Oumuamua)」について、米ハーバード大学(Harvard University)の研究者らが今週、地球外生命体(エイリアン)から送り込まれた「探査機」である可能性に言及し、注目を集めている、ただ、ほかの専門家からは懐疑的な見方が出ているとしているようで、まさかと思うが面白い。
 

太陽系の外から飛来した初の天体「オウムアムア」の想像図。欧州南天天文台が公開(20171120日公開)。(c)AFPPHOTO /

 
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ハワイの言葉で「使者」「偵察者」を意味するオウムアムアは昨年10月、地球上の複数の望遠鏡によって発見されたが、全長約400メートル、幅約40メートルの葉巻形で岩石質の恒星間天体で、太陽系内を超高速で移動しているらしい。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

Waymoはシリコンバレーで無人タクシーの走行試験を開始、ロボットカーが公道を走る

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シリコンバレーVentureclefの宮本和明さんが、「Waymoはシリコンバレーで無人タクシーの走行試験を開始、ロボットカーが公道を走る」と伝えている内容が興味深い。
 

 
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Waymoはカリフォルニア州で自動運転車を無人で運行するための認可を受けた。自動運転車の試験走行ではセーフティドライバーの搭乗が義務付けられていたが、これにより無人の車両を公道で走らせることができるようになった。Waymoが認可を受けた最初の企業となり、無人タクシーの営業運転が視野に入ってきた。
 

Waymoはカリフォルニア州で2009年から自動運転車の走行試験を展開してきた。当時はToyota PriusLexusに自動運転技術を搭載し開発が進められた。2015年に、Waymoはハンドルのない自動運転車「Prototype」を開発しLevel 5の自動運転技術の開発を始めた。2017年には、WaymoFiatChryslerと提携し、Pacific Minivanをベースとした自動運転車の開発に方向転換した。

 
Waymoはシリコンバレーだけでなく全米25の都市で試験走行を展開している。アリゾナ州フェニックスでは、既に、セーフティドライバーが搭乗しない無人タクシーの実証試験を進めている。今年末からは、有料サービスを開始するとしており、無人タクシーの商用運行が始まる。今回の認可でWaymoはカリフォルニア州においてもこれに追随する形となる。
 
・技術開発が進む中、米国の消費者は自動運転車を信頼していないという厳しい事実がある。元々、米国の消費者は自動運転技術に懐疑的であったが、UberTeslaの自動運転車が相次いで事故を起こし、この流れが決定的になった。最新の世論調査によると、消費者の40%は自動運転車に乗りたくないと答えている。米国は技術先進国であるが、同時に、消費者の多くは技術を信用していない国でもある。
 
これからはセーフティドライバーが搭乗しないロボットカーが街を走ることになり、何か落ち着かない心持となる、今までと同じアルゴリズムで走行するが、本当に仕様通りに稼働するのか心配でもある、これからはロボットカーと供に暮らすことになり、ドライバーとしては心の準備も必要となる、というのはよく理解できる。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 


中国メディアでAIアナウンサーがデビュー 人間そっくりすぎる

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「中国メディアでAIアナウンサーがデビュー 人間そっくりすぎる」というHuffingtonpost誌記事が面白い。
 

 
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AIアナウンサーは既に日本でも開発されており、ニュース番組に活用され始めているようで、いつの間にかここまで進んでいるのかとちょっと驚く。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 

太陽エネルギーを「18年」貯蔵可能な新技術、スウェーデンで開発

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再生可能エネルギーの普及を阻む大きな壁の一つがその貯蓄方法だが、太陽光エネルギーを最大で18年も貯蓄できる太陽熱燃料(solar thermal fuel)をスウェーデンの研究チームが開発したというForbes記事が面白い。
 
・太陽熱燃料は物質を日光にさらすことで分子の形態を変形させ、蓄エネルギー材料として利用可能にするもの。エネルギーを長期保存することが可能で、触媒によって活性化させて熱を放出させることができる。これは家屋の暖房などにおいても、非常に役立つエネルギーになりそうだ。
 
・この燃料は炭素と水素、そして窒素の分子からできている。有機化合物であるノルボルナジエンの分子に、太陽光をあてると原子結合が変化し、クアドリシクランと呼ばれる物質ができる。化学変換によって分子構造を変化させることで、エネルギーをため込むことができる。
 
・研究チームによると、触媒プロセスによって燃料の温度は63℃上昇するという。仮に室温が21℃ほどだった場合、燃料の温度は約84℃まで上がることになる。この熱を住宅や商業施設の暖房に使えるというわけだ。
 
・実現に向けては課題も多いが、投資家らもこの技術に興味を示しており、10年後には商業化できると研究チームは見ている。
 

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IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 

サウジマネー、シリコンバレーへ流入続く 記者殺害事件にも沈黙する起業家たち

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WSJ記事「サウジマネー、シリコンバレーへ流入続く 記者殺害事件にも沈黙する起業家たち」で、サウジアラビアの著名ジャーナリスト殺害事件が世界的なハイテク投資家としての同国の役割に暗い影を落とす中、米シリコンバレーの新興企業は今もサウジとの取引に向けて交渉を続け、ソフトバンク・グループを通じて同国の出資を受け入れている状況が参考になると思う。
 

 
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・サウジは近年、公共投資基金(PIF)の大部分をハイテク分野に振り向ける形で経済多角化に取り組んでおり、米国の新興企業に対する最大の資金提供者になっている。WSJの分析によれば、サウジは2016年半ば以降、米新興企業に120億ドル以上を出資した。その大半は、総額920億ドル規模のビジョン・ファンドに拠出した450億ドルの資金を通じたもので、ソフトバンクはビジョン・ファンドの投資決定の大半について権限を持つという。
 
・例えば、調光機能を持つガラスを製造するView社と、ロボットで作ったピザを宅配するZume社は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドから計15億ドル(約1700億円)の出資を受けたことを明らかにしている。
なお、ピザを作るロボットというだけではなく、食品調理全体という幅広いものとして捉えられるらしく、これは巨大な産業だとされ、例として医療分野でのロボット活用で、医療関連企業は手術支援ロボット技術の開発を競い合ってきたが、もしこうした技術が膝の手術にも使用できれば、あらゆる整形外科手術に応用できる可能性があるという。
 

 
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・設立3年目のKaterra社は、建築家・エンジニア・請負業者・建設業者を同一企業内にまとめることで建設の効率化を図り、建築資材の製造には組み立てラインのような仕組みを採用しているが、サウジで年間最大5万戸の住宅を建設する暫定合意を結んでおり、これは今年初めにビジョン・ファンドが主導した同社への10億ドルの投資に続くもののようだ。
 

 
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・一方、WSJは、10月、ハリウッド最大の芸能プロダクション、エンデバー社が、サウジとのビジネス関係を打ち切ろうとしていることを報じた。リチャード・ブランソン氏率いるヴァージン・グループやワシントンにある多くのロビー会社は、サウジ政府との取引を一時停止あるいはキャンセルするとしている。共和、民主両党の議員らも、サウジとの関係を抑制すべきだと主張している。
 
・一方で、エネルギー業界などでサウジを支持し続けている企業も多いという。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

僕の答えは、職場に住む。そして家が実験室になる(落合陽一さん)

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落合陽一さんが、、「賃貸vs持ち家論争」について、「僕の答えは、職場に住む。そして家が実験室になる」としているのは、実に面白い。
日常のスケジュールを紹介しているが、「1日の睡眠時間は3時間」と公言している通りで、このまま続けられのかと、こちらが心配してしまう。
 

 
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落合さんの父親は、作家で国際政治ジャーナリストの落合信彦さんで、落合さんが子どもの頃は、父親は家に帰っていなかった、父親がホテルに住むのは普通だと思っていたというのも頷ける。
 
IT起業研究所TInvC代表 小松仁

トランプの『何を言っているのかわからない』発言の奥底にある差別意識

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在米エッセイスト、洋書レビュアー、翻訳家の渡辺由佳里さんが、「トランプの『何を言っているのかわからない』発言の奥底にある差別意識」(日本人記者に対するトランプの発言は人種差別?それとも記者の発音が悪かっただけ?)で述べている内容は、外国人、マイノリティに対する無意識の差別という点からも、読んで参考になると思う。

 

 
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・日本人記者が「How do you focus on economic…」と経済について質問しかけたところでトランプがそれを遮って「どこから来たの?」と訪ねた。記者が「日本」と答えると、質問の続きを聞こうともせずに「シンゾーによろしく言っておいて。自動車の関税ではさぞハッピーだろうね」と横道にそれた。その後記者がもう一度「日本との貿易と経済問題ではどう焦点を絞るつもりですか? 日本に対してもっと要求しますか?(How do you focus on trade and economic issues with Japan? Do you askJapan to do more?)」と質問を繰り返すと、トランプは「 何を言っているのか理解できない(Ireally don’t understand you.)」と言ったという。

 
・数多くのアメリカ人がツイッターで「すごく無礼で、恥ずかしい」、「気配りがない」、「人種差別だ」と嘆いた。なかには、「『お前の言うことは誰も理解できないぞ』と返してやればよかったのに」と言う人もいたようだ。
 
・一方、トランプを擁護する日本人が多いことに驚いたとし、「あの記者の発音がひどすぎる」、「理解できなかったら、そう言ってどこが悪い?」、「あれを差別と言うほうがおかしい」というもの、記者の英語力や能力を批判する意見もかなりあるという。
 
・興味深い現象は、英語圏で何十年も暮らしている在外日本人には記者や彼の英語力を責める人がいないということだ。少なくとも、ソーシャルメディアで私がつきあっている在外日本人の間では「トランプは失礼だった」、「トランプの態度は人種差別を反映している」ということで意見が一致しているらしい。
 
・トランプが「お前の言っていることはわからない」と口にしたのは、わざと無礼な態度を取ろうとしたのでも、差別のつもりでもないと私(渡辺由佳里)は思う。ただ、彼は根っこの深い部分で、有色人種を自分と同等に扱わなければならないとは思っていないのだ。このように、「わざと」ではなく、ふと出てしまう言動がその人の本音を露呈する。本人が気づいていない差別的態度が、偏見の根深さを示しているのだ。
この日、トランプは他にも2人の外国人記者(有色人種)に向かって「言っていることがわからない」と言ったが、私には十分理解できた。トランプが以前にアジア諸国との貿易交渉での訛りを笑いのネタにしたことからも、有色人種の外国人の話し方や訛りを見下しているのは事実だという。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 

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