みずほ情報総研吉田郁哉コンサルタントが、「安定供給・価格適正化・温暖化対策を同時に実現するために― 電力自由化の課題」を整理しているのが参考になる。
EUや米国の一部の州では先行して電力自由化が進んでおり、特に英国は1990年代に世界に先駆けて電力自由化を実現してきたが、これらの国々の現状をみると、必ずしも自由化=電力価格下落に結び付いている訳ではなく、むしろ電力価格上昇を招いている例すらあるというのは厳しい現実だろう。
経済学的には、高い小売価格に規制されていた商品の市場が開放されれば、必ずその価格は下がるとされているが、
(1)商品が市場に十分に供給されること、
(2)商品を充分に保有している業者が多く参入すること、
(3)政府による価格統制等の規制が行われないこと、
などの条件が必要というのは理解できる。
電気は貯めることができない商品であり、現在蓄電池の普及も進んでいるがまだまだ高額であること、電力が自由化されると、電気事業者にとって長期投資のリスクが増え、その結果新たな発電所を建設するインセンティブが失われ、系統全体の供給力(予備力)が減ってしまうというリスクなどもある。
電力市場を機能させるためには、十分な予備力の確保と、供給力を充分に保有する多くの事業者の参入が必要であり、ベースロード電源を確保し予備力を持つ仕組みの確立とともに、多くの事業者が安心して発電投資でき電力市場への参入もできるように、長期的な視点からぶれのない政策を継続していくことが必要になるとしているのは、的を得ていると思う。
http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/column/2014/kankyo1003.html
米国が、ドローン(無人飛行機)を戦争の道具として世界に導入したことが目立つため、ビジネス上も米国が先行していると思っていたら、欧州、カナダ、オーストラリア、中国などのライバル各社の方が離陸し始めているとWSJが報じているのが、面白い。
米FAAは、米国には低空飛行の民間飛行機がはるかに多く存在し、その結果ドローンから最も大きなリスクに直面しているとして、民間ドローンのための規則の整備が完了するまで、米国内で一握りの民間ドローンを除いて屋外の飛行を全面的に禁止しており、規則整備完了には向こう数年間かかる見通しらしくこの禁止措置によって、米国のドローン市場は窒息状態となっているようだ。
FAAの規制措置があるため、グーグルとアマゾン・ドット・コムは自社の配達用ドローン試作機をオーストラリアとカナダでそれぞれテスト飛行している。
9月にはドイツの郵便・物流会社ドイツ・ポストが1カ月間にわたるテストの一環として北海の島への医薬品商業配達を開始したと発表したのを見ると、米国勢が焦っているのもよく判る。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12645916890387823719904580197383104827698