ForbesJapan記事「水道管xAIで米国100兆円市場を狙う起業家の挑戦」は、興味深く参考になると思う。
フラクタは、2017年5月加藤崇とラース・ステンステッドによって日本のロボット企業からバイアウトして設立されたが、機械学習のアルゴリズムによって、全米で劣化が問題視されている水道管の状態を評価し、設備更新投資を最適化するソフトウェアの開発を行っているらしい。
全米の地中には、約100万マイル(約160万km)の水道管が埋まっており、そのほぼ全てが30年後には寿命を終え、2050年までに合計110兆円もの巨額な設備投資が必要と言われている。
現在フルタイム6名、パートタイム4名のチームからなるフラクタは、2017年5月CEOの加藤崇とCOOのラース・ステンステッドによって日本のロボット企業からバイアウトして設立され、いつかは必ず来るこの大きな社会問題に、日々蓄積される膨大なデータとパターン解析によるアルゴリズムで解決に挑んでいるようだ。
CEO加藤崇は、2013年にグーグルに買収されて大きな話題となった東大発ロボットベンチャーSCHAFT(2017年ソフトバンクが買収)のCFOとして、同社による日本初のM&Aに中心的な役割をした経験を持つらしい。
「究極的な学びは何だったか、それは『全員がノーと言ったっていい』ということです」というのも面白い。
COOラース・ステンステッドは、スタンフォード大学機械工学科卒業後、モバイルOS、スーパーコンピュータなど多くのテクノロジー企業でエグゼクティブとして勤務した経歴を持つようだ。
また、技術面で大きく支えるのは、スタンフォード大学で研究員を務めていた日本人エンジニアでCTOの吉川大地のようだ。
10何社ベンチャーキャピタルを回り、全員に「お前はダメだ」、「人型ロボットは求められていない」、「そんな技術はどうでもいい」と言われたが、世界はそんな風にものを見ていなかったらしく、アンドロイド創業者のアンディ・ルービンが「お前ら最高にクールだから、ぜひドリームチームをつくろう」と言って買収したという。
CEO加藤がブレなかった理由は、人型であろうが、犬型であろうが、足がある限り、彼らの技術を迂回できない、10年、20年かかるかは分からないが、この技術の上に人間の生活が築かれることは間違いがない、という原理原則で、「世の中には迂回できないことが厳然とあって、それをやることは正しいこと」というのは、力強い。
自らを「KY」であると加藤は言い、「だから技術が好きなんです、正しいものは正しいですから」、そんな加藤とチームを、COOラース・ステンステッドは「クリティカル・シンカー(客観的・本質的思考をする人)と呼んでいるようだ。
「重要なのは、質問をして、学んで、自分がどう考えるか、ここには、多様でクレイジーな人が集っている、誰もが何らかの形で貢献することができる」という言葉にも期待を抱かせる。