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Channel: IT起業研究所 ITInvC 代表小松仁
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実用化間近の「出前ロボット」

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シリコンバレー在住ジャーナリスト瀧口範子さんが、「配達人に危機? 実用化間近の『出前ロボット』」で伝えている内容が興味深く参考になる。
 
ロボット業界は今、「ラストマイルデリバリー」に熱い視線を注いでいるとし、ロンドンに拠点を置く英Starship Technologiesは、既にシリコンバレーで配達ロボットのテスト走行を実施し、先頃はロンドンで初めての食事の出前を行ったという。
 
今のように大きな配達トラックが一軒一軒を回る方法は効率が悪いというのは、よく理解できる。
 
小型スーツケースを横倒しにしたくらいのサイズで、下部に6つの車輪が付いており、上部は蓋付き容器になっていて、出前の食事や小型荷物などを入れられるもので、カメラやセンサーを搭載しており、自律走行して目的地に向かうのだが、用途は物流や出前のラストマイルと特定しているのが特徴のようだ。
 
難しいのは、人が歩くような道には交差点や横断歩道などがあり、その一方で自動運転車並みのテクノロジーを搭載しようとすると、かなり高価になってしまうため、道を渡るといった難しいところは人間が遠隔から操作し、それ以外のところはロボットの自走に任せるという分担をしているらしい。
 
具体的に人間がどのように介入していくのか、不明なので何とも言えないが、現在の状況では現実的で実用性があるようにも思う。
 
ナビゲーションにはGPSを利用するのではなく、あらかじめロボットに特定地域の地図を覚えさせ、ロボットのカメラが捉える周辺の様子と照合して位置を特定する方がGPSよりも安定性も信頼度も高いというのは、尤もと思うが、今後の適用対象を広げていった場合にはどうなるだろうか。
 
さらにほかの例として、サンフランシスコの米Dispatchには、著名なベンチャーキャピタル米Andreessen Horowitzも投資しているらしい。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁 
 
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Googleが自動運転技術会社「Waymo」を設立

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Googleは自動運転技術会社「Waymo」を設立、開発から事業化に向け大きく舵を切ると、Ventureclef宮本和明代表が、伝えている。
 
新会社の名前は、「a new way forward in mobility (モビリティへの新ルート) 」を意味するらしい。
 
Waymo自動運転車は200万マイルを走行し多くの課題を解決してきたとされている。
 
これからは複雑な市街地を安全に走行できる技術の習得が目標となるが、これは「Final 10%」と呼ばれ、残された10%の分部の開発が一番難しく、時間を要する部分となるというのは、よく理解できる。
 
自動運転車は既に高度な運転技術を習得しているとされ、状況の認識能力が上がり、緊急自動車や道路工事現場などを把握でき、これにより、レーンが閉鎖されていても、道路が通行止めになっても、自動運転車は対応できる技術を習得しているという。
 
一方、親会社Alphabet最高経営責任者のLarry Pageは自動運転車を早く事業化することを求めているようだ。
 
一方、開発サイドは完全自動運転車の開発には一定の時間がかかるとしており、Pageは完全自動車の完成を待てばビジネスチャンスを逃してしまうとの危機感を持っているらしい。
 
半自動運転車として製品化することを強く求めているとも伝えられる。
 
Waymoとして収益が求められる中、自動運転技術が最終製品として早期に登場する可能性が高まったというのは、ちょっと楽観的にも見えるが、的を射ているかもしれない。
 
IT起業研究所ITInvC 小松仁
 
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大化けするベンチャーは「人」が9割(ベンチャーキャピタリスト伊佐山元)

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ベンチャーキャピタリストでWiL(World Innovation Lab)共同創業者CEOの伊佐山元さんが、大化けするベンチャーは「人」が9割と話している内容が、興味深く参考になる。
 

シリコンバレーで数々のベンチャーキャピタル(VC)関係者と話すと、彼らが必ず挙げるのは「人」で、Success followspeople. つまり、技術でもお金でもなく、「人」に成功は付いてくると言う。

 
創業した時にどれほど大きな志を持てるか、これが会社の伸びしろを決めるといい、大きな志を掲げるところに、人は集まってくるわけで、最初の適切な「妄想力」は非常に大事だというのは、尤もだと思う。
 
よく言われる話であるが、アメリカでは、日本のように上場するベンチャーはほとんどなく、8割はM&Aで終結し、そのやり方も異なっていて、日本では証券会社が売り上げや利益を計算して買収額を決めるが、アメリカでは人やチーム、そして成長の勢いといった定性的な要素に対しても大きな値段がつくようだ。
 
また、大企業が新たに1兆円事業をつくるためには、明らかに日本に強みがある製造業と、ソフトウェアの交差点を狙っていかなければならないとうのは、よく理解できる。
 
日本が競争優位を保持する領域は、自動車、産業用機械、センサー、半導体などで、これらを単に売るだけではなく、ソフトウェアと組み合わせることで、新たなサービスモデルを作ることが、これから企業価値を高める上で不可欠というのは、非常に参考になると思う。
 
IoTの世界でソフトウェアが世界を変える前提は、ハードウェアがきちんと動くことというのは、非常に大事な点で、最近ではグーグルやアップルが自動車分野に参入しているが、両社とも「自動車はものづくりのなかでは、段違いに難しい」と気づき始めているというのは、よく理解できる。
 
また、アメリカでは、富裕層と低所得者層は、住む場所も違えば食べものも違う、国境が断絶していると言ってもいい、この距離がどんどん広がったために、エリート層はそれ以外の層の実態がわからなくなったと感じている、共感する力が失われている、などの指摘は、最近の大統領選挙の結果を見ても、的を射ていると思う。
 
交友関係と情報ソースを多様化する努力を続けないといけない、自分の一次情報を大事にしなければいけない、これを怠ると、やっぱり間違いが起きるのだろうと思うというのは、よく理解できる。
 
「知と知の組み合わせ」をもたらすには、ひとえに「リアルな空間作り」が不可欠だとし、今、Airbnbがウケているのも、創業者がAirbnbを立ち上げたきっかけが、「サンフランシスコ・アートショーの時にホテルがいっぱいになり、自分の部屋を貸し出したところ、客として泊まりに来たニューヨークのアーティストと話が盛り上がった」というもので、知らない人と出会える要素が大きい、というのも面白い。
 
多くの日本企業は、新卒で就職し、セキュリティガードのしっかりしているオフィスビルに、35年間通うことが一般的で、これは右肩上がりの経済ではワークしていたが、その時代が終わり、変化に対応しなければならない時代が来ると、付加価値の源泉が「ものをいっぱい作ること」から、「人が思いつかない組み合わせを作ること」に変わり、すると、毎日同じ勤務地に通うビヘイビア(行動)は危険になる、という指摘もよく理解できる。
 
いろんなバックグラウンドの人が集えるサロンが大事だし、シリコンバレーでは、通りにあるコーヒーショップがサロンになっており、会議室でのミーティングではなく、コーヒーショップで雑談しながら、話が膨らみ、ビジネスの話につながってゆく、そうした、他業種の人たちがぶつかるサロンが、日本には足りないと感じるというのは、的を射ていると思う。
 
日米両国を比較すると、アメリカのナスダックに上場する会社と、日本のマザーズやジャスダックに上場する会社の平均時価総額には差があるとし、日本は上場件数は多いものの、時価総額が100億円未満で、20億〜30億程度の企業が山のようにあり、当然ながら上場をすれば、さまざまな制約がもたらされるから、理由なき上場は避けるべきであり、時価総額20億〜30億円の企業は、上場に値する理由が見当たらないという指摘は、貴重だと思う。
 
時価総額500億円、1000億円が見えたら上場させるが、200億〜300億円で限界を迎えた場合は、M&Aも検討し始め、数千億、1兆円の企業に買われて、その一部として頑張ったほうが、社会に与えるインパクトが大きいという判断も、尤もだと思う。
 
まだ日本では経営者になれる人材が不足している、大企業に眠る技術を切り出して事業化しようとしても、これまでずっと技術のことばかり考えてきた人材が、いきなり経営を行うのは無理というのは、残念ながらよく理解できる。
 
大きな成功を収めるためには、失敗体験が不可欠で、失敗と成功のバランスは必ず取れていて、成功の量と幅は、失敗の量と幅に依存する、メディアが成功者として取り上げる人も、ほとんどの場合、陰で強烈な失敗を繰り返し経験しているという指摘も参考になる。
 
社内ベンチャーが失敗するのは、経営判断に甘えが入るからとし、事業の将来性や売り上げの規模ではなく、社内ポリティクスや情で判断されやすいが、本来のベンチャーは、スピーディーに合理的な判断をすることでのみ生き残るべきだから、必然的に判断のゆがんだ社内ベンチャーは淘汰されるという指摘は、尤もだと思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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今日を人生の最初の日であるかのように生きる

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茂木健一郎さんが、「今日を人生の最初の日であるかのように生きる」で、本居宣長が大著『古事記伝』を書き終えたあとに、弟子たちに学問のやり方を説いた『うひ山ぶみ』を例に引き、説いている。
 
「いかならむ うひ山ぶみのあさごろも 浅きすそ野のしるべばかりも」という締めくくりの和歌について、学問をすることを山登りにたとえ、初めて山に入るときのすがすがしい気分の中で、すそ野を歩く時のあさごろもとして、わずかなる標になればよいのだが、という謙虚にもしかし愛情を持った気持ちを、宣長は記しているのであるとしている。
 
次第に習熟していくと、活動が落ち着いていく、それはそれで意味のあることだが、逆に、最初に接したときの激烈なる反応はなくなっていってしまう、そのかけがえのなさを時々思い出してみることは、大切であるというのは、尤もだと思う。
 
本居宣長で有名なのは、若き日に賀茂真淵に会った「松坂の一夜」だが、その時の感激をずっと忘れなかったのだろう、スティーヴ・ジョブズは、「今日が人生の最後の日」であるように生きろと説いたが、同時に、「人生の最初の日」であるように意識することも、大切であるとしているのも、よく理解できる。
 
ところで、「いかならむ うひ山ぶみのあさごろも 浅きすそ野のしるべばかりも」の和歌について、小林秀雄が、これは宣長が「古事記伝」を完成した年に記したものだが、門人たちから、「学びよう」、すなわち学問の方法論を乞われた時に、そんなものはないと思いつつやむを得ず書いたもので、元々懐疑的で、「いかならむ」、どうであろうかと述べているのだと、講演で話しているのを思い出した。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
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行為を手段ではなくそれ自体を目的とする(チクセントミハイのフローFlow概念)

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「チクセントミハイのフローFlow概念で最も重要なポイントは、行為を手段ではなくそれ自体を目的とした時に、パフォーマンスも学びも最大になるということ、つまり、逆説的だが、目的を考えない方が目的もより効率的に実現できるのである」と、茂木健一郎さんが述べているのは、的を射ていると思う。
 
勉強にせよ、仕事にせよ、その営みを手段だと考えると時に苦しい、勉強を入試に受かるための手段としてとらえると、もし落ちてしまったら虚しくなる、仕事を生活のための手段と考えると、働いている時間が時に苦痛になってしまう、というのは、日頃感じているところだと思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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人工知能 (AI) に関する10の「よくある誤解」(ガートナー ジャパン)

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ガートナー ジャパンが、人工知能 (AI) に関し、実際にガートナーの顧客の間で特に多く見られる10の「よくある誤解」を発表している内容が面白く参考になる。
 
1. すごく賢いAIが既に存在する。
「現時点において世の中には本物のAIと呼べるものは存在しない」という事実。
人工知能をまともに研究している人は、現時点において「人間と同様の知能」を実現できているテクノロジは存在しないことを「当たり前のこと」として認識している。
 
2. IBMWatsonのようなものや機械学習、深層学習を導入すれば、誰でもすぐに「すごいこと」ができる。
20112月にWatsonが「Jeopardy!」というクイズ番組に挑戦し勝利、また20163月にAlphaGoが囲碁の対局でトップ棋士に勝ったことなどを受け、こうしたものを導入すると「すぐにすごいことができる」と捉える人がいるが、そのように単純ではないことを理解する必要がある。
これらは、機械学習や深層学習 (ディープ・ラーニング) の応用だが、それらを導入すれば同じようなことがすぐに実現できるわけではなく、こうした「すごいこと」を成し遂げようとするなら、実際の「すごい」テクノロジに加え「すごい」エンジニアがいなければならない。
 
3. AIと呼ばれる単一のテクノロジが存在する。
 
4. AIを導入するとすぐに効果が出る。
 
5. 「教師なし学習」は教えなくてよいため「教師あり学習」よりも優れている。
 
6. ディープ・ラーニングが最強である。
 
7. アルゴリズムをコンピュータ言語のように選べる。
 
8. 誰でもがすぐに使えるAIがある。
 
9. AIとはソフトウェア技術である。
 
10. 結局、AIは使い物にならないため意味がない。
 
ガートナー ジャパンのリサーチ部門バイス プレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀 忠明氏が、企業に向けたアドバイスとして、
 
「企業は、AIの理想と現実をまずは正しく理解し、ハイスキル/ハイリターンを前提とした人材投資を中長期戦略として展開する必要があります。
現在、市場は『何でもAI』の状況です。
多くのベンダーはAIを宣伝文句に使っていますが、2017年には本物のAIとそうでないAIが区別して語られるようになることを期待します。
また、ユーザーもこうした宣伝に振り回されないように、『本物を見極める目利きのスキル』を獲得することが重要になります」
 
とコメントしているのは、的を射ていると思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言

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日経Gooday記事に、「短時間睡眠は時代遅れ 名だたるCEOが8時間宣言」とあるのは、面白い。
 
ビジネスリーダーたちが、良い判断を下し事業を育てるうえで睡眠が果たす役割について、公の場で発言を始めているようだ。
 
マイクロソフトの最高経営責任者(CEO)サティア・ナデラも、8時間眠ったときが最も調子がいいという。
 
アマゾンのCEOジェフ・ベゾスは、注意力が高まって、思考もはっきりする、8時間眠ると1日ずっと調子よく過ごせると言っているようだ。
 
Google会長エリック・シュミットは毎晩8時間半の睡眠を取るといい、パイロット免許を持つ彼は、疲労の危険性も熟知しているらしい。
 
リンクトインのパット・ワドーズは、夜ぐっすり眠ることが生産性に直結するといい、職務柄、「睡眠不足イコール仕事への献身」という神話がいかに浸透しているかも痛感している、「信じてもらっていいが、毎晩4時間や5時間の睡眠でやっていけると吹聴するのは、名誉のしるしではない、私はそんな宣言を山ほど耳にしてきた、そんなとき私にはこんな声が聞こえる、あなたは自分の健康を損ねても構わないんですね、仕事でも家庭でも自分のベストを出せなくて構わないんですね、」と話しているようだ。
 
人間、6時間も眠れば十分だという意識を持っていたが、どうもこれは間違いのようだ。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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AI時代の福祉とは何か?

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ロンドン在住で情報通信コンサルティングに従事中の谷本真由美さんが、「AI時代の福祉とは何か?」
で伝えている内容が興味深い。
 
AIがどの程度進化するのか、そしてその進化はどの程度のものになるのかはわからないが、ホワイトカラーの仕事の少なからずは機械化が進む、もしくは、情報システムがより洗練され、より賃金の安い地域に仕事が流れていくことは明らかだろう。
 
ホワイトハウスは「 ArtificialIntelligence, Automation, and the Future という報告書を発表しているが、その中で、AIの進歩による社会変化は政策問題として真剣に議論していくべきだとし、AIによる社会変化を、19世紀と20世紀におきた変化と比較しているようだ。
 
19世紀の産業革命では、高技能労働者に比べると、非熟練労働者の生産性が爆発的に増加し、その結果、高いスキルのある職人は機械と非熟練労働者によりおきかわり、職人は失業している。
 
20世紀にはコンピューターや通信が発達、高技能労働者の生産性は爆発的に増加し、特に創造性を発揮する仕事、概念を取り扱う仕事、問題解決をする仕事の生産性が向上したが、社会全体での雇用数自体は伸びていない。
 
一方、作業の予測が可能で、定型化やプログラミングにより処理可能な仕事、例えば旅行代理店の予約担当者、電話の交換手、文書整理といった職業は消えていっている。
 
AIの台頭により三ヶ月毎に6%程度の仕事が減り、若干数の新しい仕事が増えるが、低技能、低付加価値、低賃金の仕事は減っていく、しかし公教育は削減され、最低賃金は下がり、従業員の組合化には制限がかかったために、不公平が増大しているのが現代であり、AIの進化によりそれは悪化していくだろうと上記報告書では述べているようだ。
 
このような変化に対応する戦略として
 
(1) AIへの投資と開発
(2) アメリカ人が未来の仕事に対応するための教育
(3)労働者が変化に対応することを補助する
 
という3つの戦略が述べられているらしい。
 
日本はこのような変化に直面している上に、少子高齢化問題も抱えているため、大変であり対処を急ぐ必要があると指摘しているのは、尤もだと思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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シリコンバレーは緩やかに「秋」から「冬」に向かう

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シリコンバレー在住コンサルタント海部美知さんが、「シリコンバレーは緩やかに「秋」から「冬」に向かう」で伝えている内容が、参考になる。
 
ベンチャー界隈では2015年の後半にはすでに「秋風」の気配が感じられ始めており、気の利いたベンチャーは「今のうちに資金を入れておこう」と躍起になっていたが、予測が現実となっているという。
 
「秋風」の気配のひとつとして、エグジットの動向があるとし、ベンチャーへの投資は、何年かのうちにエグジットすることで大きなリターンを得ることを主たる目的として行われ、エグジットの方法としては「IPO(上場)」と「M&A(企業売却)」の2つがあるが、いずれも2014年が頂点で、2015年はすでに減速が始まっているらしい。
 
2009年ころに急速に増加したのが「産業・エネルギー」(主に環境技術)と「医療」分野であったが、その後は縮小しており、2015年ころ「消費者向け機器・サービス」(IoT)と「金融サービス」(フィンテック)が少々増え、あとはなんでもあり的な「ソフトウェア」という部分がどんどん増大しているようだ。
 
Software is eating the world」というのは、2011年にマーク・アンドリーセン(ネットスケープ創始者、現ベンチャーキャピタリスト)が使って有名になった言葉だが、現在のシリコンバレーの状況をよく表しているらしい。
 
中国とインドの企業を除くと、現在シリコンバレーの「ビッグ3」大型ベンチャーは、ウーバー(ライドシェア)、エアビーアンドビー(空き室シェア)、パランティア(セキュリティ)であるという。
 
なおスナップチャットはすでに上場申請を行っており、2017年に上場予定らしい。
 
一般メディアでのこれらの「次」のバズワードとしては、「AI(人工知能)」が挙げられるが、なんらかの技術ブレークスルーがあったというより、センサーやビッグデータ技術の発達により、インプットできるデータが飛躍的に増え、コンピューティングパワーも増大したという「力ずく」の発達であり、3点セットの続きに位置するという指摘は、的を射ていると思うし、貴重な意見だと思う。
 
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)やセンサー技術なども、ウェアラブルと同様に「入出力」部分の進化であり、コア部分の技術では「3点セット」の続きであるというのも、同様と思う。
 
太陽光発電もスマートグリッドも息切れしたシリコンバレーで、唯一の「実質的に儲かりそうな環境技術」と期待されていた自動車・交通関連技術が、法制度などの局面で、既存勢力による妨害に遭遇しはじめる可能性は高いという指摘も気になる。
 
トランプ政権に代わり流れが変わると、2017年に引き続きベンチャーとして成功できそうなのは、政策の変化による影響をそれほど直接受けない企業向けソフトウェア分野、メディアや医療などの特定分野のニッチなものになるという見方は面白い。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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ヨナ・コンプレックスを超えてフローやゾーンに至る方法

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茂木健一郎さんが、「ヨナ・コンプレックスを超えてフローやゾーンに至る方法」で述べている内容が、興味深く参考になる。
 
負荷をかけ、集中して自分を追い込むことで得られるフロー、さらには稀に起こる「ゾーン」といった状態に到達する上で障害になることの一つは、自分の能力をフルに発揮することを恐れる「ヨナのコンプレックス」らしい。
 
フローやゾーンに達することを目指す創造者やアスリートは、今までの自分と異なる自分へのステップを上がることの恐怖を克服しなければならない、そのためには、脳の中で制限をかけているリミッターを外してあげることが必要になるという。
 
ヨナ・コンプレックスを乗り越える上でもっとも鍵となるのは、自分自身で自分への負荷を調整することであり、現在の自分に無理のない範囲で負荷を高めるノウハウを自分の中で持つことで、人は、怖れを超えて、より高いレベルでのフロー、ゾーンを経験し、自分を変えることができるというが、どうだろうか。
 
IT起業研究所ITInvC 小松仁
 

Uberはサンフランシスコでの自動運転試験を中止。試験走行は時期尚早という基本的な疑問も出ている。

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Ventureclefの宮本和明代表が、「Uberはサンフランシスコでの自動運転試験を中止、認可を巡りカリフォルニア州政府と激突」と伝えている。
 
Uberは必要な手続きをしないでSan Franciscoで自動運転車の試験営業を始めた、カリフォルニア州政府はこれを認めず、試験車両の登録を取り消す強硬策を取った、これに対し、Uberは隣のアリゾナ州に移り、ここで路上試験を始める計画という。
 
Uber20161214日、San Franciscoで自動運転車の試験操業を始めたが、この車両は「Self-Driving Uber」と呼ばれ、Volvo XC90に自動運転技術を搭載した構成となっているようだ。
 
Uberはこの車両で無人タクシーの試験営業を開始したが、車両にはUber専任ドライバーが搭乗しており、問題が発生すると運転を代わる手順となっているらしい。
 
Uberは既にPittsburgh(ペンシルベニア州)Self-Driving Uberの営業試験を展開しているが、UberSan FranciscoSelf-DrivingUberを試験する理由について、試験走行の環境を拡大することで、技術開発を加速するとしている、SanFranciscoは自転車が多く道路は狭く交通量が多く、難しい環境で技術を磨くとしているようだ。
 
Self-DrivingUberPittsburghで試験営業しているが、クルマがドライバーの支援なしで走れる距離は限られているとの報告もあり、頻繁にドライバーの割り込みが必要となる、Self-Driving Uberが他車に接近しすぎて走行したなど、不安定な挙動もレポートされているらしい。
 
試験走行は時期尚早という基本的な疑問も出ているようで、今後の展開に注目していきたい。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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セレンディピティは、価値がないと思われているような小さなことが重要な鍵になることが多い

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セレンディピティ(serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること、 また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることのようだ。
 
セレンディピティは、価値がないと思われているような小さなことが重要な鍵になることが多い、つまり、セレンディピティは価値の逆転であり、小さなものが意味を持つに至る「価値の下克上」でもあるのだと、茂木健一郎さんが書いているが尤もだと思う。
 
ドットとドットを結ぶ大きなイノベーションや、発明、発見のきっかけになることは、下手をすると気づかずに通り過ぎてしまうような小さなことが多く、そのようなことに目をとめる心の余裕と、ある意味では「やさしさ」が必要であるというのはよく理解できる。
 
世間と異なる価値観、着眼点を持つことも、ユニークなセレンディピティにつながる、自分が好きなもの、大切に思うことが世間と違うからと言って、それでがっかりしたりさびしがったりする必要はない、そのような孤独な注目こそが、セレンディピティにつながる可能性があるからだというのも的を射ていると思う。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
http://lineblog.me/mogikenichiro/archives/8314099.html

セレンディピティをつかむためには、外界のものに注意を向けるだけでなく、自分の心の繊細な動きにも関心を向けていなかればならない

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セレンディピティをつかむためには、外界のものに注意を向けるだけでなく、自分の心の繊細な動きにも関心を向けていなかればならない、大切なものを教えてくれるのは、感情のほんの小さな動きであることが多いからであると、茂木健一郎さんが述べている内容が興味深い。
 
経験する森羅万象の中からのセレンディピティの拾い上げは、感情という「アンテナ」を十分に研ぎ澄ましておくことで可能になる、理性と感情のやわらかなバランスを保つことで、セレンディピティを高めることができるというのも、面白い。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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人工知能(AI)による 雇用への衝撃と世界における日本のポテンシャル

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キャノングローバル戦略研究所CIGSのインターナショナル・リサーチ・フェローでスタンフォード大学アジア太平洋所リサーチアソシエート、Stanford Silicon Valley-New Japan Projectプロジェクトリーダーの櫛田健児さん著「シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃」(朝日新聞出版)を改めて読んだが、興味深く参考になると思う。
 
また、最近のCIGSコラム「DeepMindAIの衝撃、アメリカの選挙結果の衝撃、そして人工知能(AI)による 雇用への衝撃と世界における日本のポテンシャル」で述べている内容が、上記とも関連が深く参考になる。
 
 今、色々なロボティクスから解析サービスが「独自のAI」を作りあげてサービスやものを動かしているということを謳い文句にしている企業が多いが、独自に作ったAIアルゴリズム(要するにパターン認識)と、グーグルが世界トップの人材を集めて、ほぼ上限なく資金を投入し、多分世界で最も多くデータを持っているだけではなく、1000億円規模の世界中にあるデータセンターが作り上げたAIエンジンと、どちらに優位性があるだろうか? 少なくとも、コスト面と、常に最新のコンピューターサイエンスの理論のブレークスルーの最前線にいる人材を次々に取り入れるグーグルのサービスの「鮮度」にかなう企業は今の所考えにくい、という指摘は、厳しいが的を射ているかもしれないと思う。
 
人間の活動の自動化は、あらゆる領域に広がっている、車の運転まで自動化させているので、これから産業での劇的な自動化の波は必然である、クラウドコンピューティングという、今まで希少リソースだった情報処理能力と貯蔵のキャパシティは、グーグルやアマゾン、マイクロソフトといったグローバル企業の膨大な設備投資によって豊富なリソースとなった、これらの企業の巨大データセンターは1000億円以上の規模のものを世界中にたくさん所有していて、最近、シスコシステムズなどの歴史的なシリコンバレーの大手も1000億円規模の投資を捨ててクラウド市場から撤退するという現状である、というのもよく理解できる。
 
また、次のような指摘も興味深い。
 
『人工知能の開発の歴史には、大きく分けて二つのパラダイムがある。
一つは、人間を置き換える、普段考えられているAIで、人間の脳の機能を真似する「ニューラルネットワーク」などの研究に現れる。
もう一つのパラダイムは、人間の能力を拡張する「Intelligence Augmentation」というもので、人間を置き換えるのではなく、人間の能力を高めるけれども人間は残す、というものである。
後者は、例えば「目標設定をして人工知能にオプティマルな方法で達成してもらう」という典型的な人工知能のプロセスを使うと、もしかしたらオプティマイゼーションの方法が予期せぬ方向に流れ、人間社会としては受け入れがたい結果になるという可能性を懸念している開発者たちが後押ししている。
また、「すぐには完全自動にはならないので、まずはIA」という方向で急速に開発と実装が進んでいる分野が数多くある。』
 
『工事現場の重機などを作っているコマツの取り組みが非常に面白い。
コマツはオーストラリアなどの巨大な鉱山に使う大型ダンプトラックの完全自動運転システムを2008年から展開していて、最近発表したソリューションはまさにIAのパラダイムに沿っている。
従来なら10年ほどの熟練オペレーターしかできなかった作業を、非常に経験が浅い人材でも行えるようなシステムを導入している。
重機の様々な部分に埋め込まれているセンサーからリアルタイムで情報を取り、それに基づいて間違いを犯す前に寸止めしたりできるというのだ。』
 
日本では熟練の労働やスキルを持った人が足りなくなるので、コマツのようなIAは広く社会に受け入れられる可能性は高い、日本で開発されたシステムや、実装された経験は、今後世界にインパクトを与える可能性は十分あると考えている、その形は直接日本企業がシステムを展開するのか、あるいは海外の企業が日本で実績を上げるのか、それとも日本国内で起こっていることを模範例として他のところで似たようなものを開発して広めるのかはまだ分からない、という指摘は、かなり明るい将来性を示していると思うがどうだろうか。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁

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シリコンバレーを中心としたアメリカのロボットトレンド

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Make School留学記 -シリコンバレーのスタートアップが創るエンジニアのための大学にて-」サイトで紹介されている「シリコンバレーを中心としたアメリカのロボットトレンド」の内容が、興味深く参考になると思う。
 
1)アメリカ政府によるロボット産業促進施策とロードマップ
 

・連邦政府はDARPAチャレンジやNational Robotics Initiative(NRI)を通じ、資金提供やロードマップの策定を実施。

NRIではロボットが次のインターネットになるとして、”From Internet toRobotics”というロードマップを2009年より発行。

・ロードマップでは製造、サービス、医療、軍事、宇宙の5領域について、ロボットの活用と研究に関する展望が述べられている。
2016年の更新版ではサービスロボットに関する記述が増えたほか、ロボットを取り巻く法規制や教育システムの整備についても言及。
 

2)シリコンバレーを中心とするロボットブームとWillow Garageの功績

 
・アメリカのロボット産業は、製造や軍事研究が盛んであった東海岸・中部を中心に集積。現在、ボストン周辺ではiRobot/MIT出身者がコボットやソーシャルロボットを牽引。
・西海岸はSRIStanfordの基盤が存在していたが他の分野ほど目を向けられてこなかった。部品の低価格化やソフトウェアの重要性の高まり、Willow Garageの設立やGoogleの自動運転・ロボット進出などを契機に、人材、企業、資金が集まってきた。
Willow Garageが著名なロボット研究者を集め、「利益は二の次」の方針でロボットに必要なオープンソースソフトウェアを開発したことにより、その後のロボット開発が加速した。
・人型ロボットの開発で生まれた技術からスタートアップが生まれた。オープンソースソフトウェアを共有資産として活用することで、ロボット開発を少人数で高速に実現している。
2013年のGoogleのロボット会社8社の買収を契機にロボットスタートアップへの投資環境は改善。Exitの目処も立ちやすくなった。
・資金のみならずノウハウ提供や深センでのライン立ち上げ支援を行うスタートアップアクセラレータプログラムも増加。
 
3)ロボットを取り巻く変化と押さえるべきポイント
 
・センサ性能と計算能力の向上、低価格化も相まって、ロボットの役割は量産工場での単純作業から様々な業界・プロセスの複雑な作業へと広がっていく。
・日常社会でロボットとの接点が増え、ロボット脅威論が叫ばれるなかで、ロボットが一般の人にとって使いやすく、また、社会に溶け込んでいくためのインタラクションデザインが重要になる。
・収益安定性を高め、顧客のニーズへの迅速な対応を可能にするために、Robot As a Serviceなどロボットを売らないビジネスモデルに注目が集まる。
・従来の用途を越えてロボットが使われるようになるにはセンサやAIとの組み合わせによる新たな価値提供が必要。
 
アメリカ政府によるロボット産業促進施策とロードマップ、シリコンバレーを中心とするロボットブームとWillow Garageの功績、ロボットを取り巻く変化と押さえるべきポイントなどの内容も面白い。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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電池、ストレージ、AIチップの技術革新

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大石 基之日経エレクトロニクス編集長の「2017年 電池、ストレージ、AIチップ、技術革新が止まらない」という記事内容が、面白い。
 
2017年のエレクトロニクス業界は、技術のパラダイムシフトに沸く1年になりそうだとし、既存の技術トレンドの枠組みが崩れ、新たな潮流が本格化することになると見ているようだ。
 
電池については、現行のスマートフォンやノートパソコンに使われている「Liイオン2次電池」の次を狙う動きが、これまでとは比べ物にならないレベルで進展しそうだといい、近年の大容量化重視から安全性重視へとトレンドがシフトしつつあるらしい。
 
ストレージのパラダイムシフトとして、NANDフラッシュメモリーでメモリーセルをSiウエハー上で2次元的に配置する2次元フラッシュメモリーから、メモリーセルを3次元方向に積み重ねる3次元フラッシュメモリーへ、メモリー構造が一新されそうだという。
 

AI向けCPUの市場は2016年の11億米ドル超から2025年には574億米ドル超へと、50倍以上に成長する見込みという市場予測があるようで、既に半導体世界最大手の米Intel社、同2位の韓国SamsungElectronics社が2016年後半に相次いで、深層学習用の半導体を開発する企業の買収や出資を発表している。

 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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トランプ新大統領の誕生と最近のシリコンバレーの様子

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Ventureclefの宮本和明代表が、トランプ氏が政策を示し始めると、シリコンバレートップの態度が変わってきた、選挙戦での過激な発言とは異なり、トランプ氏はテクノロジーの重要性を認識し、これを経済政策に活用する動きを示している、一方、ハイテク企業社員はこの動きに敏感に反応し、会社トップがトランプ氏にすり寄っていると嫌悪感を表している、と最近のシリコンバレーの様子を伝えている。
 
宮本さんが、下記のように総括しているのが、分かりやすい。
 
トランプ氏に対する根強い不信感があるものの、シリコンバレーは選挙直後の深い失望感から回復しつつある。
トランプ新大統領の誕生でイノベーションが途絶えると危惧されたが、最悪の事態は回避されそうだ。
むしろ、トランプ大統領がシリコンバレーの追い風となる勢いだ。
米国企業だけでなく、日本企業にとっても新政権誕生はプラスに作用する流れとなってきた。
ただ、トランプ新政権が発足し経済政策が示されるまでは予断は許されない。
トランプ氏が打ち出す変化の激しい政策に臨機応変に対応することが求められる。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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セレンディピティと「タイムウィンドウ」

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セレンディピティの定着には、偶然の幸運として出会ったBという種を認識し、その意味を理解し、そして受容するだけのタイムウィンドウが与えられなければならない、そのためには、今やっていることをいったん止めて、Bにきちんと向き合わなければならないと、茂木健一郎さんが指摘しているのが面白い。
 
また、セレンディピティでBに出会って、それを理解するために立ち止まるという認知プロセスは、「ひらめき」に似ている、ひらめきにおいても、脳の神経活動が短い時間いっせいに活動して、それまでやっていた通常の認知プロセスが一時停止する「タイムウィンドウ」が与えられる、というのは、よく理解しきれないがこれも面白い。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁



バーチャルリアリティ(VR)の世界が近づいてきている

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シリコンバレー在住コンサルタント渡辺千賀さんが、「AIによる自分のバーチャル化のための第一歩」の中で、だいたい、シリコンバレーで「近づいてきている感」がある技術やサービスは、その1015年後くらいには世の中全体で普通になる、というのを私見とし、202530年くらいにはVRも普通になるのだろう、としているのは面白い。
 
去年はOculus Riftも市販化されるなどバーチャルリアリティ(VR)の世界が近づいてきている感があるとし、VRとリモートプレゼンスが隣同士の技術であり、さらにaugmented reality(拡張現実・AR)やAI(人工知能)も隣にあるという見方も面白い。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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AIは"勘"を再現できるか

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【頂上対談】山中伸弥×羽生善治「AI""を再現できるか」(週刊現代)で、山中教授が、「僕たちは最終的に4個の組み合わせで、分化した細胞を元に戻せることを示したんです、その4個に行き着いた秘訣は『勘』でした、この因子は絶対試したいという勘があった、問題は僕たちが勘と呼んでいるものをAIが再現できるかどうか」としているのは、興味深い。
 
「ほとんど勘です、先を読んでもすぐに何千手、何万手という手の数になるので、一つの局面では二つか三つの手しか考えていません、そこでどれくらい精度の高い判断ができるか、それに必ず予想外のことが起こるので、その時にうまく対応できるかどうかです、AIが得意なのは組み合わせの中から最適な答えをみつけることです、ただ、人間が自然の風景を見て美しいと感じる美意識や感性を学習させるのは難しいと思います、それは数学的な処理ができるかどうかに関わっていて、バッハ風の曲ならAIでもけっこう作れますが、たとえば村上春樹のような小説は書けません、勘がなぜ働くかは人間にも説明できないので、相当高いハードルでしょうね」と羽生三冠がコメントしているのも面白い。
 
梅田望夫さんの『ウェブ進化論』(2006年)の中で、羽生さんが「ITとインターネットの進化によって、将棋が強くなるための高速道路が一気に敷かれた、でも、高速道路を走り抜けた先で、大渋滞が起きている」とし、「これはダメな選択肢、やっちゃいけない手だ、ということが瞬間的にわかるかどうか、これはすごく大事なことです、なぜかというと、いくらたくさんの手が読めても、そのなかにダメな手がひとつ入っていると、すべてが台なしになってしまうからです」という話を思い出す。
 
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁
 
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