Ventureclefの宮本和明代表のレポート「無人で走行するクルマはできるのか、 Google自動運転車開発最大の危機」を読むと、Googleの自動運転車の開発、製品化見通しの厳しさ、さらに全体の動向が見えてくるので、参考になると思う。
「Google自動運転車開発の総責任者Chris Urmsonは2016年8月、会社を離れた。
ここ最近プロジェクトのキーマンが相次いでGoogleを離れており、トップのUrmsonが去ることで自動運転車開発は大きな打撃を受けた。
辞任の背後には自動運転車の製品化で意見の相違があるとされる。
Google自動運転車開発は最大の危機に直面した。」
「Googleは他の自動車メーカーや自動車部品サプライヤーと自動運転技術に関する提携を模索しているといわれている。
Urmsonが繰り返し表明してきたように、Googleは自社でクルマを製造する計画はない。
Googleはあくまで自動運転技術の開発に集中し、クルマの製造は提携企業に委託する。
しかし、自動車メーカーはクルマがEVに向かう中、Googleに製品の中枢部分であるソフトウェアを押さえられると、事業の主導権が奪われるとして危機感を示している。」
「自動車メーカーは一挙に全自動運転にジャンプすることにも難色を示している。
メーカーはTesla Autopilotのような半自動運転車を投入し、その後、時間をかけて完全自動運転車に進むロードマップを描いている。
これに対してGoogleは、半自動運転車はクルマとドライバーの間で制御を渡すプロトコルが難しく、危険であるとのポジションを取る。
これを「Hands-off Problem」と呼び、緊急の際にドライバーがとっさに運転を代わることは危険であるとしている。」
「Googleが先行していた自動運転車は開発が難航していることが明らかになった。
更に、メーカーでの自動運転技術開発が進み、その差は明らかに縮まっている。
また、ベンチャー企業は高度な手法で自動運転技術を開発しており、Googleの地盤沈下が鮮明になっている。」
「Googleのロボット開発部門「Replicant」でも同じ問題を抱えている。
GoogleはBoston Dynamicsを始め有力なロボット企業を立て続けに買収した。
Alphabet経営陣は短期間でビジネス化することを求め、開発グループとの関係がこじれている。
ReplicantトップのAndy Rubinは会社を去り、Boston Dynamicsは売りに出されているとの報道もある。
自由闊達な開発環境がGoogleの魅力であったが、Alphabetに組織変更されてからは、ビジネスとしての収益構造を厳しく問われている。」
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁