Forbes JAPAN記事「独占密着! グーグルの新CEOが描く「AI」で動くデジタル世界」の内容が興味深い。
新会社アルファベットの創業に伴い、グーグルCEOの座を退いた創業者のラリー・ペイジが後任に据えたのは、“起業家的研究者”とも称されるAI(人工知能)の旗手だったというのは、象徴的と思える。
アマゾンのエコーに対抗するためのスマートスピーカー「グーグルホーム」と、メッセージアプリの「Allo(アロ)」、さらにその両者を支える新サービス、グーグル独自の対話型コンピューティング「グーグルアシスタント」の発表は、グーグルがメッセージサービスの分野で地歩を固められずにいることを浮き彫りにしているというのは、よく理解できる。
同社の誰ひとりとしてスマートスピーカーの波が来ることを予期できていなかった現実、アマゾンの後追いになってしまった状況も象徴的だろう。
「グーグルにとってのリスクは、高度なAIを扱う能力があるために、かえって『そこそこ良い商品』を生み出す機会を見逃してしまうことだ」という、オライリー・メディアのティム・オライリーCEOの言葉は、的を射ていると思う。
ところで、グーグル本社からひとつ通りを隔てた所にある目立たない2階建てのビルに入る研究開発部門「グーグル・ブレイン」が、同社とそのプロダクトを未来に導くAIの開発に当たっているようだ。
1年前にリリースされた「グーグルフォト」は、ユーザーが特定の人物や動物などを検索できる一般向けのプロダクトだが、画像を認識・検索し、自動的に整理する能力はIT業界をうならせたという。
社内には現在、グーグル・ブレインの成果をさまざまなプロダクトに応用する計画が2,000以上も存在するらしく、機械学習の勉強会を開き、グーグルの何千人にも及ぶエンジニアたちが何週間もかかる講義を受けてきているようで、研究プロジェクトだったものが、エンジニアリング活動の本流になっているようだ。
IT起業研究所ITInvC代表 小松仁