“TechMom from Silicon Valley”で、海部美知さんが、「みんなでお手々つないで貧乏になった『非格差社会日本』」の中で伝えているアメリカ国内の内容が興味深い。
「・・・『格差社会』のアメリカではどうかというと、オバマ政権の間、前回お話した「所得上位者」のほうは手をつけず、もっぱら「最低層の底上げ」に注力していた、というのが私の印象です。
リーマン・ショックで傷ついた金融セクターを「救済する」ということでいろいろ批判があり、もうひとつの金持ち製造装置であるシリコンバレーについては、ITを使っていろいろな課題を解決しようという方向(例えば、電子カルテ化や電力スマートメーター導入のための補助金、ロボット研究開発のための大学への拠出金など)で間接的に支援しました。
最低賃金は、連邦の最低賃金は変わっていませんが、主要な州で2014年に広範な引き上げが行われ、シアトルは先頭を切って時給15ドルに向けての段階的な引き上げが始まっています。
これに対し、バーニー・サンダースが強力に主張し、選挙戦で粘ってついに今週の民主党大会での綱領とヒラリーの政策に入れさせたのが、「金持ち」対策です。
「お金持ちになる」のはいいけれど、いったん金持ちになったら、「フェア」な税金を払ってね、ということです。
(さすがに「お金持ちになっちゃいけない」と足を引っ張ると、イノベーションと産業成長を阻害する、極めてアンチ・アメリカンなことですので。)
他にも、公立大学の無料化や金融セクターの規制強化など、直接お金持ちからお金を奪うわけではないけれど、現在お金持ちでないより広い範囲の人にチャンスを与えようという政策を掲げています。・・・」
それでも、バーニー・サンダースの支持者のうち、大統領選挙で、どの程度がヒラリーに投票するのか、よく見えないというのが現実ではないだろうか。
IT起業研究所代表 小松仁