国立情報学研究所の新井 紀子情報社会相関研究系教授が、「大学に入学し得る人工知能の到来:そのとき労働市場に何が起こるか?」を経済産業研究所RIETIで論じている内容が興味深い。
現在、AIは「第三の波」を迎えているといわれ、これを支える主要な技術は、ビッグデータと機械学習であるが、特に、ここ数年深層学習が画像認識・音声認識に与えた影響は大きいとしている。
米国に比べて、ビッグデータ収集のスキーム作りに圧倒的に乗り遅れた日本において、大学入試を題材にした人工知能のグランドチャレンジ「ロボットは東大に入れるか」が始められた意義はそこにあるというのはよく理解できる。
AIが、2025年までに東京大学へ入れるほど賢くなることはなく、ビッグデータや深層学習など、現在のありとあらゆる手段を使っても、そこまで進むことはないが、人間の仕事のボリュームゾーンがAIに代替されることが予想され、重要なのは、ボリュームゾーンのホワイトカラーが、どのようにAIに代替されるかということだと指摘しているのは、尤もだと思う。
東ロボくんは2014年の段階で、どの科目でも偏差値50程度となり、最頻値を超えており、12年間にわたって学校教育を受けてきた多くの人よりも、正解率が高いということになる。
東ロボくんが偏差値60に達して欲しいとは思わない、そこまで高くなれば、労働代替がどれほど起こってしまうかと恐怖を覚えるためというのは、開発当事者の本音かもしれない。
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/15081801.html