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Channel: IT起業研究所 ITInvC 代表小松仁
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テクノロジーベンチャーを支える主役はプライベート市場へ

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在米ジャーナリスト・リサーチャー小池良次さんが、テクノロジーベンチャーのIPOは急激に減少している一方、VCに代表されるプライベート(非公開)市場で、企業評価額が10億ドル(約1200億円)を超える通称「ユニコーン」と呼ばれる巨大ベンチャーが着実に増え、今やテクノロジーベンチャーを支える主役はプライベート市場に移りつつあると伝えている。

シリコンバレーには約5000社のベンチャー企業があるようだが、彼らが目指すのは株式市場への新規上場ではなく、インテルやアップル、グーグルやオラクルといった米国ハイテク業界のグローバルリーダーに会社を売却することだと改めて認識する。

これには、グーグルやフェイスブック、アップルなどが、優秀な人材の確保を兼ねて数百万ドル程度で次々と買収しているタイプで、サービスや製品開発向けの資金調達、「アーリーラウンド」が終わったベンチャーを買収するものと、12億ドルでデータストレージ大手EMCに買収された米ビルタストリームのように、アーリーラウンド後もVCから「シリーズB」や「エクスパンション・ファンド」などと呼ばれる資金調達を続けて成長を狙うタイプがあるようだ。

上場企業に課される情報開示義務は厳しくそのためのコストは膨大で、株価を維持するために短期的な収益目標を優先しなければならない一方、長期的な投資をともなう研究開発や製品・サービス開発の優先度は下がるなど、テクノロジーベンチャーがIPOを嫌うのも理解できる。

長期的なビジネスを基本とするため、デメリットが表面化しにくいバイオテクノロジー企業が、現在IPO市場をリードしている状況もここからきているようだ。

日本でも近年、VCの活動は活発化しているとはいえ、世界の経済動向を敏感にキャッチして、グローバルなスタートアップ育成を展開する米国のVC業界と比べると、目を覆いたくなるほどその差は広がっているというのは、残念ながら的を得ているのかもしれない。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93837820Q5A111C1000000/

スタートアップは実業とはいえずビジネスモデルを探す一形態

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ディープラーニング開発に特化したベンチャー企業、スカイマインドのアダム・ギブスン共同創業者の、「STARTUP X」での講演と質疑内容は興味深い。

人工知能は多様なアプリケーションへ応用が可能として、今すぐに役立てられる領域の例にターゲット広告を挙げ、グーグルやフェイスブックによるユーザーのサービス利用パターンなど全体的な行動パターンの分析、マイクロソフトのスカイプのリアルタイムの機械翻訳、アップルの音声処理の技術活用、IBMの人工知能型コンピューター「ワトソン」での活用、フリッカーやグーグルフォトの画像を解析・検索、さらに自動運転車や運転手役を務めてくれる自律型ロボットなど実に多様と見える。

この中で、スタートアップは実業とはいえずビジネスモデルを探す一形態で、ゴールはディープラーニングの民主化であり、一般ユーザーが使いやすい形でディープラーニングを提供したい、これがミッションのコアであり、向こう数年にわたりディープラーニングが普及するように貢献したいと思っているという言葉は印象的である。

協働パートナーのひとつとしてインテルを挙げ、ディープラーニングアプリケーションについて複数の部門と協働しているようで、また中国の大手携帯電話製造会社とも協働しているというのは、この業界の広がりを端的に示しているようである。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93698150W5A101C1000000/
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO93698130W5A101C1000000/

宮家邦彦CIGS研究主幹の講演「日本の敵‐よみがえる民族主義に備えよ」

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CIGSキャノングローバル戦略研究所で、宮家邦彦研究主幹の講演「日本の敵‐よみがえる民族主義に備えよ」を聴いたが興味深い内容だった。

先日のISISによるパリ同時多発テロのすぐ後でもあり、これに対応した部分も多く参考になった。

欧州、中東、アジアの地政学および長い歴史を踏まえないと分からないことが多いと改めて感じる。

机上の学問をベースにする学者と違って、外務省でカイロ、バグダッド、ワシントン、北京での大使館勤務、本省での外務大臣秘書官、中東第二課長、中東第一課長、日米安保条約課長、中東局参事官などを歴任した現地経験から地に足のついた議論となっている。

特に、ものごとは、相手との関係で決まり、ISISは言わば草野球のレベルの武力、政治力にも関わらず、これほど強力になっているのは、単純にイラク、シリアなど国家の体をなしていないように周りが弱すぎ、メジャーリーグの米国などは介入を嫌い、草野球同士のやりあいになっていると表現していたのは、的を得ていると思う。

最近、米国が部分的に陸上部隊を投入すると発表している件については、これはかつてのベトナム戦争と同じで、小出し投入は必ずうまくいかず、やるなら、一気に大量投入で片を付けるべきという論も説得力がある。

世界で進むIoT・新産業革命への取組みと日本の未来

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中小機構主催の「新価値創造展2015」の中で、「世界で進むIoT・新産業革命への取組みと日本の未来~つながる中小企業と21世紀の新価値創造とは ドイツ、アメリカから「インダストリー4.0」、「IoT」の第一人者が集結~」のテーマの講演内容が興味深かった。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング国際営業部副部長でドイツ連邦共和国ザクセン州経済振興公社日本代表部代表の尾木蔵人さんの「世界で進む新産業革命とつながる中小企業」では、ドイツで始まっているインダストリー4.0、アメリカで進んでいるIoT、インダストリアルインターネットの状況をよく伝えていた。

「ドイツ インダストリー4.0の最新情勢」を伝えた、フラウンホーファー研究所製造用デジタルツール・コンピテンスセンター長のMR.Joachim Seidelmannは、メルケル首相への「インダストリー4.0の実現に向けた提言書」の執筆者の一人らしい。

島田太郎シーメンスジャパン専務執行役員は、「インダストリー4.0への道『デジタル企業』」で、欧州の中小企業の事例も紹介していた。

ボッシュソフトウェアイノベーション アジアパシフィック総支配人Mr.Thomas Jacobは、「自動車部品・産業機器メーカーによるIoT・つながる工場への取組み」で、アメリカ、ドイツ、アジアでのグローバルな取組みを紹介していた。

IBMコーポレーション アナリティクス部門IoT事業本部CTOのMr.Sky Matthewsは、「アメリカ発IoT~ビッグデータ分析とワトソンのインパクト」で、AIも含め紹介していた。

日米の主要なベンチャー関係者のカンファレンス「MOMENT2015」

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スタンフォード大学で、日米の主要なベンチャー関係者が集まるカンファレンス「MOMENT2015」が、企画と運営の中心人物はベンチャー投資・支援のWiL(World Innovation Lab)共同創業者伊佐山さんらしいが、WiL、トーマツ・ベンチャーサポート、スタンフォード大学の手で実施された状況を、経済産業省石井 芳明新規事業調整官が伝えている内容が興味深い。

全米VC協会(NVCA)の会長として米国ベンチャーキャピタル業界を率いてきたDCM創設者Dixon Doll氏の講演では、米国のキャピタルの投資動向や、個人投資家、機関投資家の参入による業界の構造変化などに加え、今後注目の投資分野として、デジタルヘルス、デジタルメディア、ウエアラブル(AR,VR)、次世代金融サービス、モバイル、IoT、ドローン、ライフサイエンス、バイオ、データアナリティクス、eコマース、自動運転車などを挙げていたようだ。

さらに世界的な動向として、起業家、経営者人材、技術プラットフォーム、市場アクセスのグローバル化による一体化と、その争奪戦の激化が、ますます進むと予測しているらしい。

また、彼らはビリオンダラークラスの会社を何社も作ってきているせいか、IoTのような最近のトレンドに対しても視座が高く、日本では始まったばかりという感じなのに、北米ではもうExit事例が複数出ているので、IoTでもっと大きいことをするにはどうするか、というトピックになっていて、2周差ぐらいついている感覚を受けたという。

失敗を恐れず、素早く意思決定し、事業を進める「スピード」、さらに世界から集まる人材・技術と潤沢な資金を結び付けて実現する「スケール」について、シリコンバレーにおけるビジネス展開の強さを改めて感じたというのは、残念ながらよく理解できる。

http://toyokeizai.net/articles/-/92834?fb_action_ids=10101978432187833&fb_action_types=og.likes

Deep Learningソフトウェア「TensorFlow」の公開とAIビジネスのポイント

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GoogleはDeep Learningソフトウェア「TensorFlow」をオープンソースとして公開したが、これについては各所から意見が出ている中、Ventureclef代表宮本和明さんが、Googleは人工知能でいかに事業を構築するのか、AIビジネスのポイントを整理して伝えている内容が興味深い。

TensorFlowはインテリジェントなシステムを開発するためのソフトウェアで、機械学習アルゴリズムを表現し実行するインターフェイスとして機能するが、オープンソースとして公開する理由について、「機械学習で革新的製品を生み出すことを手助けするため」としているようだ。

TensorFlowを公開したという事実は、Deep Learningの戦いはアルゴリズムではなくデータがカギを握る、ということを示唆しており、Deep Learningのアルゴリズムはコモディティーになりつつあるともいえ、Deep Learningで勝敗を分けるのはデータで、アルゴリズムに入力するデータを持っていることが、圧倒的なアドバンテージとなるという指摘は、尤もだと思う。

Googleは検索エンジンで世界の情報を整理し、大量のテキストデータを保有し、スマートフォンでの音声検索で、膨大な音声データを持ち、Google Photosに大量のイメージデータが集まりつつあり、YouTubeは世界最大のビデオライブラリーとなっていることから、Googleは非常に優位なポジションにいるのは間違いないだろう。

http://ventureclef.com/blog2/?p=2910

ベイエリアの日本式経営スタイル

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グーグルの経験を生かしてフェイスブックをけん引しているシェリル・サンドバーグCOOや、ヤフーの
マリッサ・メイヤーCEOなど、ベイエリアの「卒業生コネクション」はかなり強力だと、ツイッタージャパンの笹本裕代表取締役が伝えているのが興味深い。

メンバーの誰かが転職先を探していたり、失業してしまったときなどは「それなら誰々に聞いてみれば」「あそこには誰々がいるから紹介してあげる」といったように、グループ内のあちらこちらから手が差し伸べられているのは、まさに日本で言う「コネで入る」という印象に近い。

社内にも仕切りがなく、できるだけ全体が見渡せる環境を推奨していたり、日本でも話題になる「社食」も社内のコミュニケーションに大きく寄与したりしているなど、以前の日本のスタイルが違和感なく採用されているのは、面白い現象といえる。

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO94150820Y5A111C1X12000/?n_cid=DSPRM1489

坂村健東大教授特別講演「IoTで日本の組込みシステムが変わる」

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「ET/IoT Technology 展示会・カンファレンス」での坂村健東大教授による特別講演「IoTで日本の組込みシステムが変わる」の内容が、Businessnetwork上にも紹介されているが、興味深い。

部品から組み立て、販売までの全ての現場がネットワークで繋がり、高効率かつ柔軟な多品種少量生産が可能になるという製造業向けIoTのコンセプトは、日本ではすでに1970年代からトヨタの「かんばん方式」で実現されているとし、インターネットのないときからトヨタはIoTのコンセプトを展開してきたが、ただ違う点は、“トヨタのグループ企業に限られる”ところというのは、よく理解できる。

さらに、グループ内に閉じたかんばん方式を全ドイツ、さらには全世界で繋げようというのが「インダストリー4.0」で、そのビジョンをひと言で表現すると“オープンなかんばん方式”であり、ドイツが決めた方式で製造業界を繋ぎ、世界でイニシアチブを取ろうとしているというのもわかりやすい。

また、アメリカの「インダストリアル・インターネット」は、建設機械の情報を遠隔で確認するコマツの「KOMTRAX」をオープンにしたイメージで、全世界に何万台もあるGEの産業機械の動作データを集め、そのビッグデータから故障を予知するという、GEの閉じられた構想から始まったが、それをオープンにすべくAT&T、シスコ、IBM、インテルなどと企業コンソーシアムを作り、技術標準の開発を目指しているという。

ただ、オープンだとしても何でも繋げてよいなどということはありえないわけで、ルールを守ったならばという条件、すなわちガバナンスが必要になるという指摘は重要だろう。

オープンなIoTはどのように実現するのか?に対し「アグリゲート(総体)モデル」を挙げ、例えば、デジカメの機能を細分化させ、顔認識はカメラではなくクラウドで実施、シャッターはスマートフォンのアプリ で代替、液晶モニターもスマホで、コンピューティングのリソースはクラウドに集約され、デジカメとしてはレンズだけが残るように、「モノを作るときに、突き詰めていったら何が残るのかと考えることがアグリゲートモデル的なモノ作りになる」という考え方は参考になると思う。

なお、坂村健教授は、ビル・ゲイツ氏、TCP/IPを開発したロバート・カーン氏、携帯電話を初めて作ったマーティン・クーパー氏とともに、世界で初めてIoTの概念を提唱したことと組込OSとして普及しているTRONへの貢献により、国際電気通信連合(ITU)の創設150周年を記念して設けられた「ITU150 Award」を受賞している。

http://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/4265/Default.aspx

野村総研 ICT(情報通信技術)の主要5市場(デバイス/ネットワーク/プラットフォーム/コンテンツ配信/ソリューション)市場予測

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NRI野村総研が、2021年度までのICT(情報通信技術)の主要5市場(デバイス/ネットワーク/プラットフォーム/コンテンツ配信/ソリューション)について、国内と一部世界における動向分析と市場規模の予測を発表している。

(1)デバイス市場
デバイスとモノとの連携を用いたサービス提供が本格化し、デバイスはサービスに合わせて多様化していく。

(2)ネットワーク市場
成熟期を迎えているが、異業種のサービスとのバンドル(組み合わせ販売)の増加や、MVNOで市場が活性化すると見込まれる。

(3)プラットフォーム市場
スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、B2C EC市場はさらに拡大し、オムニチャネル化の推進、スマートペイメントの利用が加速する。

(4)コンテンツ配信市場
スマートフォンの急速な普及により、コンテンツ市場は成熟期から衰退期へ、ユーザー目線で付加価値を創造する、新たな市場を創出することが求められる。

(5)ソリューション市場
情報セキュリティの堅調な伸び、およびM2M/IoTの急激な成長により、ソリューション市場は高い成長性を示す。
特に、スマートデバイスによるヒト・モノの情報武装化(IoT)、およびネットワークの高速化とデータ分析技術の発展等により、M2M市場は2014年度の約3,300億円から2021年度には9,000億円を超える規模に達すると予測しているのは、面白い。

http://www.nri.com/Home/jp/news/2015/151125_1.aspx

日本初のロボット治療機器「HAL 医療用」の医療機器製造販売承認

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日本初のロボット治療機器「HAL 医療用下肢タイプ」(「HAL 医療用」)が厚生労働省より医療機器の製造販売承認を取得したと、CYBERDYNEが発表している。

患者に装着して生体電位信号に基づき下肢の動作補助を行い、歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的とした世界初のロボット治療機器であり、日本では今回、治験によって緩徐進行性の神経・筋疾患患者への安全性と進行抑制効果とが認められたことになる。

さらに、HAL 医療用を用いた治療に対して保険適用を受けるための申請手続きを行う予定としている。

脊髄疾患への適応拡大をめざし、昨年9月より HTLV-1 関連脊髄症(HAM)等の主に痙性のある対麻痺症に対する治験を実施しているとのことで、今後のヘルスケア領域での貢献に期待したい。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/112601312//?n_cid=nbptec_tecfb
http://www.cyberdyne.jp//wp_uploads/2015/11/151125_薬事承認プレスリリース.pdf

世界ICTフォーラム「ICTによる10年後の未来」

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日経新聞、総務省、情報通信学会共催による世界ICTフォーラム2015「ICTによる10年後の未来(IoT/ビッグデータがつくる新たなビジネスの胎動)」で、総務省桜井俊総務事務次官による政策展望「IoT/ビッグデータ時代の情報通信政策」に続き、情報通信学会三友仁志会長(早稲田大学院教授)の「Connected Citizensへの展望~IoT/ビッグデータが実現する社会~」の内容が興味深かった。AIを含め、IoT、ビッグデータなどをキーワードとする今後の技術開発、ビジネスへの展開を改めて期待したい。

日立製作所グループの自動運転技術

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日立製作所グループが、初めて試作した自動運転車を報道陣に公開し、加速や操縦など複数操作をクルマが自律的に行い、高速道路で利用できるとされる「自動運転レベル2」を実現したコンセプトカーに加え、最新技術を搭載した合計6台のデモ車両についての試乗レポートが、日経ビジネスに報告されている。

自動運転関連市場で現状は数%程度のシェアを2020年度には2桁に引き上げることを狙い、自動車メーカーへ既に提案を始めており、2017年ごろの採用を目指すとしているが、自動車メーカー自身と他のITメーカーなどとと比べどのような位置付けにいるのだろうか。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/112600159/?n_cid=nbpnbo_nb_fb&rt=nocnt

大阪は商都としての伝統に回帰、アジアの商都として活性化

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ニュージャージー州在住作家・ジャーナリストの冷泉彰彦さんが、大阪ダブル選挙での大阪維新のマニフェストに触れ、トップに「副首都『大阪』の確立」というスローガンが掲げられ、(1)大阪を政治の中心地に、(2)中央官庁を大阪に移転、(3)国の出先機関の関西広域連合移管としている点について論じている。

これでは、国レベルで単に全体の行政コストが増加するだけで、それによって、中長期のGDPにプラスになることはまく、小さな政府論ではなく、大きな政府論の変形に過ぎないとしているのは、わかりやすい。

大阪は商都としての伝統に回帰すべきで、そのためには、英語で商談ができ、株式上場が国際基準ででき、会計業務や紛争処理が英語でしかも国際標準でできる、そうしたグローバルな「事務仕事」が東京より数倍効率的にできて、シンガポールや上海と連動してビジネスができる、そのような都市、アジアの商都として活性化させていくしか生き残る道はないと思うというのは、面白く尤もだと思う。

http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2015/11/post-789_1.php

データを持たない企業の人工知能事業ビジネスモデル

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IBMが民間の気象会社「The Weather Company」を買収した件を、Ventureclef代表宮本和明さんが伝えている内容が興味深い。

IBMは人工知能プラットフォーム「Watson」を使った「Watson Analytics」と呼ばれる解析サービス事業を、保険、小売、政府、エネルギー、消費者製品、メディア企業などを対象に展開している。

人工知能ビジネスでは、質の高いデータを大量に所有していることが、決定的なアドバンテージとなり、GoogleやFacebookなどが有利なポジションにいるが、IBMなど多くの企業はデータを保有していないため、IBMは気象会社を買収し、世界最大規模の気象データを手に入れたことになる。

また、IBMは、この買収を発表した翌日、Twitterとの提携を明らかにし、TwitterのデータストリームをWatson Analyticsに読み込み、消費者の商品に対するセンティメントを把握するようだ。

一日当たり5億件のツイートを読み込み、新製品開発のためのデータを収集し、製品の売れ行きを解析することになる。

従来、人工知能を教育したり知見を引き出すデータを保有していないため、IBMは人工知能事業で不利な立場と言われてきたが、Weather Company買収やTwitterとの提携は、データを持たない企業のビジネスモデルを示し、IBMの人工知能ビジネス戦略が転機に差し掛かっていることを示しているというのは的を得ていると思う。
http://ventureclef.com/blog2/?p=2921

イノベイティブなものを理解させる「ベータ100」と呼ぶ取り組み

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慶應義塾大学大学院の前野隆司教授と、USBメモリーやイントラネットをはじめ、数多くの画期的なコンセプトで革新を起こしてきたイノベーター濱口秀司さんの対談がTechon誌上で続いているが、興味深い。

ほとんどの人が「何だ、それ?」と感じるようなイノベイティブなものを理解させるのに、「ベータ100」と呼ぶ取り組みを挙げている。

完全なプロトタイプを作り、必要であれば模擬店舗を作ってパッケージプロトタイプを置き、そこに100~200人を呼び、テレビコマーシャルのようなイメージビデオを見せたり、商品広告を挟み込んだリアルな雑誌を見てもらったりするなど、その商品が売られている状況、購買意思決定の瞬間を疑似体験してもらい、「本当に買うかどうか」を確認する方法のようだ。

特許が漏れてしまうという心配に対しては、特許を出す意味は、「ほかの会社から訴えられない」ということであり、本格的に技術を特許で守ろうとしたら、100件くらいの特許を用意して、周辺を特許の壁で囲わなければならない、海のものとも山のものとも分からないビジネスを、何千万円も掛けて特許で守るという取り組みにはよほどの技術でない限りは経済合理性がない、というのは尤もだと思う。

一方、真似されないものが一つだけあって、それは機能でもないし、意匠デザインでもなく、いわゆる意味性、ストーリー性だとし、人間の頭が勝手に認知する、数字にできないものや、複製しても意味をなさないもので差異化することだというのは、面白く参考になる。

また、イノベーションを成功に導く五つの「P」として、「Purpose」(「目的、ゴール」)、「Potential」(「能力」)、「Passion」(「情熱」)、「Protocol」(「アイデアという抽象概念は、組み合わせることで必ず構造化できる」という考え方)、「Possibility」(新しいものを生み出す確率)をあげているのも興味深い。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/091600011/111700004/?n_cid=nbptec_tecfb&rt=nocnt

小売業向け接客ロボット「OSHBOT」

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日経Robotics記事に、米Fellow Robots社の小売業向け接客ロボット「OSHBOT」の紹介がある。

来店客に音声認識・合成などで対応し、目的の売り場まで案内をしてくれるロボットで、日本ユニシスが、2015年秋より日本国内での取り扱いを開始している。

現在、音声認識・合成は英語とスペイン語にしか対応していないが、日本語や中国語といった多言語へのローカライズを行っているとのことで、このようなタイプは今後身近に目にすることが多くなると思う。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/113000018/120400012/

米国でコンピューターサイエンスが小学校の科目に(?)

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WSJ紙によると、米国で初等および中等の教育制度を扱う新たな「Every Student Succeeds Act(児童生徒が全員成功する教育法)」が定める包括的な科目構成の定義に、コンピューターサイエンスが含まれたようだ。

コンピューターサイエンスが算数・数学や英語(国語)と同じくらい重要な科目として位置づけられたことになる。

州は必ずしも連邦の基準に従う必要はないものの、多くの州が連邦法の一字一句をコピーしたものと言うので、この法律を踏まえて、コンピューターサイエンスを科目として教える学校が全米各地で増える可能性が出てきたわけであるが、日本ではどうなのだろうか。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB12063707009372514535404581409223862733438

Facebookのインテリジェントなサービス「Facebook M」の試験

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Ventureclef代表宮本和明さんが、Facebookは次の10年を睨んだ戦略を展開、人工知能、上空からのネットワーク、没入型インタフェースを三本の矢と位置づけ投資を進めているが、人工知能を最重要テーマとして開発を加速しており、ソーシャルネットワーク企業から、大きく路線を転換しようとしていると伝えている内容が興味深い。

メッセージングサービス「Messenger」の中心機能でタスクを実行するエージェントとして動作する、インテリジェントなサービス「Facebook M」の試験を開始しているようだ。

MはApple Siriなどのアシスタント機能と異なり、利用者の言葉を理解し、指示に従って、買い物など実際にタスクを実行する点に特徴があるらしい。

さらに、画像解析と自然言語解析を組み合わせた「Visual Q&A (VQA)」を開発中であるが、視覚障害者のためのシステムで、例えば、「写真の中に赤ちゃんが写っている?」と質問すると、VQAは「イエス」と回答するなど、写真の内容を質問して確認できるものらしい。

このように、AIアシスタントがFacebookの新しいインターフェイスになることを示唆しているというのは間違いない様だ。

http://ventureclef.com/blog2/?p=2929

「オンデマンド労働」はどこまで広がるか

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シリコンバレーTechmomの海部 美知さんが、ティム・オライリーのカンファレンス「Next: Economy」で、「米配車アプリ大手のウーバーテクノロジーズを辞めてタクシー会社に行った人」、「タクシー会社を辞めてウーバーと同業のリフトに行った人」、「運送会社を辞めてウーバーに行った人」という3人の運転手によるパネルディスカッション激論の様子をもとに、「オンデマンド労働」はどこまで広がるか、シリコンバレーが引き起こす新しい働き方の波紋を紹介している内容が興味深い。

こうしたサービスが可能になった背景には、「裏側」のクラウド/データ/ソフトウェア技術の発達があり、(1)GPS(全地球測位システム)情報やビッグデータ処理技術などを使って、大量のばらばらなタスクの割り振りをリアルタイム・自動的に行えるようになった、
(2)ワーカー側がスマートフォンで応答したり地図を使ったりする高度な操作が容易になった、
(3)顧客からの評価だけでなく、多角的に人の「信頼度」を計測する手法が発達して、敷居の低い採用方法であってもかなり正確に「信頼度情報」がサービスに反映できるようになった、
ことなどが挙げられているのは、的を得ていると思う。

また、「サービス業」の構造を変える可能性を持つ「オンデマンド労働」だが、様々な問題も発生して深刻化しているとして、「単価の低さや待遇の悪さがなかなか解消されず、格差は広がる一方」の問題、「現在の年金・労働法などの仕組みからこぼれ落ちる」問題を取りあげているのは妥当だと思う。

現在は、100年スパンの産業社会がまた変革を迎えている時期に当たり、これからまた富を生み出し分配する新しい仕組みの時代を迎える、この時代を切り開いていくのは我々自身である、というティム・オライリーのまとめもよく理解できる。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/216773/120300007/

起業家および小企業のオーナーの平均年齢

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英フィナンシャル・タイムズ紙記事に、シンクタンク、カウフマン財団の調査によれば、都市部における起業の最大の源は、住民1人当たりの小規模企業の数で、ニューヨークが1位、ボストンが2位、ロードアイランド州プロビデンスが3位、サンフランシスコは4位などとあり、一寸意外な結果になっている。

さらに、起業家および小企業のオーナーの平均年齢はずっと高く、しかも上昇しており、現在、経済活動と雇用創出のエンジンである小企業の32%を、45~54歳の人たちが所有しているという。

デジタル化で、かつて安定していた会社勤めの中間層の仕事の大部分が消滅し、中年従業員を放り出していく傾向、全般的な米国の人口高齢化も統計に影響を与えているかもしれないが、学生ローン債務の重い負担が若者に起業家になることを思いとどまらせている可能性があると示唆しているのは、如何にも米国らしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO95033720R11C15A2000000/?n_cid=DSTPCS013
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